イギリスの外科医が切断後23時間経つ男性のペニスを再生する手術に成功しました。これほどの時間を経た成功例としては初のケースとなります。
医師団が「BMJ症例リポート」に記したところによれば病院に収容されたのは妄想分裂症の既往歴を持つ34歳の男です。男は精神病の症状を呈して自殺を試み、首と腹を刺した上自らのペニスをナイフで切断。
意識を失って救急車で病院へ搬送され、氷で冷やしたペニスも共に運ばれました。蘇生処置を施した後男は手術室に運ばれ、ペニスの再生が試みられました。体の部位を再接着するためには切断から15時間以内に手術する必要があると言われており、成功例での平均値は7時間でしかありません。
男のペニスは23時間血流がない状態だったものの、医師団は根元から2.5cmのところで切断された部分を調べ、背動脈、静脈、神経を確認。背動脈を抗凝血剤入りの塩水で洗浄した結果、血液循環が可能であることを明らかにしたと言います。切断部分を取り付けるため腕から取った静脈移植片が用いられましたが、主要神経の一部は時間が経ちすぎて縮んでしまい、接続できませんでした。
再生手術後、男はバーミンガムNHSトラスト大学病院の病棟で回復治療を受け、精神科へ移送してそこで入院したとのことです。幸いなことに手術は成功を収めたのです。
報告書にはこう記されています。「患者のペニスに感覚が戻り、手術後6週間後には自発的な勃起が報告されている。」今回は切断後これほどの時間が経ってペニス再生に成功した初のケースだと医師団は考えています。
男は数か月後にも皮膚片の移植を受け、その後の結果は良好です。医師団はこの例によって、切断が起こってから1日過ぎてしまっても手術を試みる価値があることを医師に知ってほしいと考えています。
また、報告にはこうあります。「今回の事例では文献上最長時間にわたって常温の虚血状態に置かれたにも関わらず、切断された部位の重要性を考慮して再生手術を試みた。長時間虚血状態にあったとしても成功の可能性がある点と、器官の喪失が患者に物理的・心理的影響を及ぼす点を鑑み、今回の事例をもって医師諸氏にはペニス再生手術の実施を促したい。」
reference:iflscience