毒ヘビに噛まれた中国の農民が自分自身で指を切り落としたにも関わらず、医師にその必要がなかったことが明らかにされた。男性は無事で回復に向かっているという。
毒ヘビに指を咬まれた中国の農民は、自分でできる唯一の手段を選択しました。彼はすぐに指を切り落とし、一番近い都市にある病院に足を運んだのです。
しかし、彼を治療した医師によると、指を切断する必要はなかったと言います…
男性が噛まれたヘビは浙江省上虞区で「5歩蛇」という名で知られているマムシの一種とのこと。地元に伝わる話では、咬まれると5歩歩くうちに毒がまわり命を落とすことからそう呼ばれているそうです。
それで毒が回るのを防ぐために、60歳のこの男性はその場で咬まれた自分の指を切断しました。そして傷口に布を巻いて、治療を受けるために80キロ離れた杭州市の病院へ駆けつけました。
杭州中医医院の医師たちがメディアに語ったところよると、患者の張さんは元気で、ヘビに咬まれたことで起こると予想される呼吸困難や頭痛、歯茎の出血などの症状は見られなかったとのことでした。
しかし、医師によると指を切断する必要なんて全くなかったそうで、「5歩蛇はそれほど強い毒は持ってない」と言います。
5歩蛇はそれほど強い毒は持ってないとはいえ、危険性がないという意味ではありません。このヘビはマムシの一種のヒャッポダというヘビで、主にベトナム北部、中国南部、海南、台湾で見られます。
このヘビの毒は強力なヘモトキシンで、血球を破壊して出血を起こします。より大きな個体だと人間にとって致命的であることが知られており、咬まれることを恐れるのは当然でしょう。
事実、張さんが医師に語ったところによると、今年の初めに彼の隣人が一人、蛇に咬まれて亡くなっています。
医師によると、張さんのような対処方法は珍しいことではないとのこと。ヘビに咬まれた場合の対処方法には、古くて時代遅れの情報がたくさんあります。
咬まれた箇所を切断したり、口で毒を吸い出したりするのは効果がありません。
ヘビに咬まれて来院する患者の約30%は極端な自己処置を施しており、しばしば処置を施していなかった場合よりも多くの治療が必要となってしまいます。
「ナイフで手や足の指を切断する人もいれば、紐や針金で咬まれた腕や足をきつく縛ったり、傷口を焼いて体内に入った毒を壊そうとする人もいた。」と医師は語ります。
そのような患者は病院に到着する頃には、手足がすでに壊死の兆候を示していると言います。
オーストラリアのクイーンズランド州政府(世界一毒ヘビが多いのにもかかわらず、咬まれて死亡する人の比率が驚くほど低い州)からのアドバイスによると、包帯またはラップで傷口をしっかり巻いて、できるだけ安静にし、すぐに病院に行く必要があるとのことで、可能なら救急車を呼びましょう。
傷口を切ったり吸ったり、止血帯を使ったり、毒を洗い流したりしないでください。そうしないことで傷から毒液を採取してヘビを識別することができ、素早く適切な血清を投与できるのです。
張さんは、血清を投与されて傷口も清潔にしてもらい包帯を巻かれました。今は家にいて回復に向かっているということです。残念ながら、切断した指は山に置き忘れたので、接合することはできませんでしたが…
reference: science alert