仮にあなたが、バイエンススーツを着用して宇宙でゴルフを楽しんでいたとしましょう。
しかし、ついミスショットをしてしまい、ゴルフボールを地球の方向に飛ばしてしまいました。
バイエンススーツを着用したあなたのスウィングによるゴルフボールのスピードはとてつもなく速く、この宇宙で最も速い存在である光に匹敵するものとなってしまうことは間違いないでしょう。
人類史上最低最悪のミスショットになることは避けられませんが、その破壊力はどの程度なのでしょうか?わずか45g程度のゴルフボールですが、地球にぶつかった場合、何が起こるのでしょうか?
今回はゴルフボールが光速で地球に衝突するとどうなるのかについてご紹介したいと思います。
バイエンススーツの力を借りることができるとして、ゴルフボールはどれくらいの速度まで到達できるのでしょうか。
普通に考えると、ゴルフボールを打つ力が強ければ強いほど、それに応じてゴルフボールを速く打ち出せるであろうと考えるでしょう。
仮に、通常のスウィングでゴルフボールを秒速40mで打ち出せるのであれば、スイングのスピードをその2倍にすることで、ゴルフボールは2倍の速度である秒速80mで打ち出すことができる。
これが私たちの中にある常識であり、高等学校の物理の教科書にもそう書いてあるでしょう。しかし、この法則は実は幻想にすぎない、と聞いたらどうでしょうか。
確かに、私たちの普段の生活程度では、この法則は完全に成り立つと言ってもいいほどに正確です。しかし、速度が光速の次元にまで大きくなると、この法則にはズレが生じてしまいます。
ゴルフボールを速く打ち出そうとするほど、より多くの力が必要になり、最終的には無限大の力で打ち出す必要がでてくるのです。
そして無限大の力が必要になる速さが、光の速さ、光速なのです。いかに大きな力で打ち出しても、物体が光速に到達することができないのはこのためです。
光速は秒速約29万9792km。この宇宙に存在するあらゆる物質は、必ずこの速度より遅い速度で運動します。
なぜこのようなルールになっているのか、なぜこの速度なのかは全く解明されていませんが、この宇宙ではこの法則が正しいようです。
そのため、いくらバイエンススーツがあるからと言って、ゴルフボールを光速そのもので打ち出すことはできないのです。
一方で、光速そのものには到達できないものの、莫大な力さえあれば光速に近づくことは可能です。
バイエンススーツの力により、仮にゴルフボールを光速の99%、およそ秒速29万6800kmの速度で地球に向かって打ち出してしまったとしましょう。何が起きるでしょうか。
通常、ゴルフクラブも、ゴルフボールも打った瞬間に破壊されますが、どちらもバイエンス製。この程度ではびくともしません。ゴルフボールほどの大きさの物体が地球に向かって落ちることで起きる現象としては、流れ星が有名です。
流れ星は、大きさが砂粒程度のものから直径1mほどの物体が地球に落下する際に、地球大気と衝突することで光って見える現象です。
流れ星の場合は地表に到達する前に燃え尽きてしまいますが、今回のゴルフボールも地表に到達できないのでしょうか。
流れ星は通常、秒速数十kmの速度で地球の大気に侵入します。私たちの感覚では、これは非常に速い速度ですが、今回のゴルフボールの速度はそれの10000倍ほどの速度。
そのため、大気に侵入するときも、全く異なる現象が起こります。ゴルフボールの速すぎる速度により、ゴルフボールと衝突した空気の分子が核融合反応を起こすのです。
太陽のコアという非常に厳しい環境であっても、温度と圧力が足りないため、窒素や酸素といった分子を核融合することはできません。
ですが、光速の99%のパワーがあれば、空気そのものを核弾頭に変えてしまうことができるのです。
その後、核融合による熱により、ゴルフボールが一瞬でプラズマ化し、周囲の空気もプラズマ化させて、光の速度でプラズマ化された領域が広がっていきます。
空気と衝突・融合しながら進むゴルフボールは、わずかに減速しますが、燃え尽きる前に地表に到達してしまうことでしょう。当然、地表からは突然太陽より明るい閃光が発生します。
ですが、それも一瞬。地球大気のおおよその厚みである10000kmを通過する間の時間は、わずか0.03秒ほどであり、地表にいる人間が反応できる前に、光速に近い速度であったゴルフボールは地表に衝突します。
起きることは、もちろん核融合に伴う大爆発です。地表で核弾頭を爆発させたかのような、閃光と熱、爆風、そしてキノコ雲が生じます。
爆心地にはクレーターができ、半径数kmは、一瞬で焦土と化すでしょう。通常の核弾頭と同じように、爆風による被害や、放射性物質による生命の影響も起きると予想されます。
しかし、無念にも地球全体に影響を及ぼすほどではないと考えられます。光速の99%の速度で運動する、質量45gのゴルフボールが持っているエネルギーは、TNT換算でおよそ6メガトン。
凄まじい破壊力を持っているように思えますが、例えば人類史上最大の核爆弾であるツァーリ・ボンバは、TNT換算で50メガトン、ゴルフボールのおよそ8倍のエネルギーを誇っています。
1961年に実行されたツァーリ・ボンバの実験は、爆心地から半径数百kmに渡って甚大な被害をもたらしました。
しかし、地球規模で気候が変動したり、大量絶滅が起こったという事実はありません。光速の99%で打ち出されたゴルフボールより、人類の愚かさの方が一枚上手だったようです。
しかし、もっと速度を上げたゴルフボールでは、結果は変わるのでしょうか。例えば、光速の99%ではなく、限りなく光速に近い、99.9999999999999999999%の速度になるとどうでしょうか。
速度としては、1%程度しか変わっていません。そのため、ほとんどエネルギーに差はないと思いがちですが、光速に近い速度ではその常識は通用しません。
この限りなく光速に近い速度に到達するために必要なエネルギーは、光速の99%と比較すると、およそ1京倍。与えるエネルギーが大きいということは、破壊力も大きいということです。
この限りなく光速に近い速度で、ゴルフボールを打ち出してしまった場合、皆さんが期待する結果が見られそうです!
地表に衝突するまでは、先程とほぼ同じです。しかし、地表に到達しても、ゴルフボールは止まることはありません。
地球の地表にある岩石と衝突しても、問答無用で核融合していき、地球の内部に侵入していきます。エネルギーが大きすぎるのです。
ここから先に何が起きるかは、申し訳ありませんがバイエンスの科学力では予想が困難となります。このゴルフボールが持っているエネルギーは、地球の重力が持っているエネルギーより大きい、ということはお伝えできます。
もしかすると、地球が粉々に破壊されるかもしれません。エネルギーが大きすぎて地球を貫通してしまうことも考えられます。いずれの場合でも、地球にとっては一大事。皆さんも、ミスショットには気を付けてくださいね。