コロナ禍によるロックダウンのおかげで地球全体の振動が小さくなったことが研究で明らかに

私たち人間は乱暴で破壊的な生き物です。私たちが日々暮らしているだけで地球をブンブンと鳴らしているのです。ドライブや旅行、採掘、建設、産業、そしてスポーツイベントでさえも高周波の地震ノイズを鳴らす原因となるのです。

Credit:Pixabay

現在、コロナウイルス感染拡大によって世界は観測史上初の人為的な地震ノイズの劇的な減少を目の当たりにしています。

「この沈黙の期間は地震計の巨大な監視ネットワークで地球を詳細に監視し始めて以来最も長く最も勢いが弱くなっているようなのです。」とイギリスのインペリアル・カレッジ・ロンドンの地震学者スティーブン・ヒックス氏は話しています

「私たちの研究は、人間の行動が個体地球に与える影響に的を絞り、人為的なノイズと自然のノイズとをはっきりと区別します。」

私たちは常に地球の轟音を監視しています。世界中に何百とある地震監視ステーションは地震や火山活動の予測や理解に役立っています。

それらのシグナルから人間の活動のノイズを取り除く必要があります。ノイズが著しく弱まる時期があり、週末や夜、クリスマスや新年、春節などの祝日に静かになる傾向がありますがノイズが止むことはありません。

今、人間の騒音が完全に止んだわけではありませんが未だかつてない減少を見せており、数ヶ月連続で50%ほど減少しています。

この研究は世界117ヵ国268ヶ所の地震監視ステーションから集められた、2020年5月を含む数ヶ月間分のデータに基づくものです。各国がコロナウイルス感染拡大予防のためロックダウンを実施し始めると、はっきりとパターンが見えてきました。まず1月後半に中国、続いてヨーロッパの国々、そして3月、4月に世界中に広がっていきました。

185ヶ所の地震監視ステーションでは、各地域のロックダウンに相関して人為的な高周波シグナルが著しく低下しました。

都市部など人口密度が高い地域で顕著に現れたのですが、研究者が言うには、人口密度の低い農村地区やドイツのシュヴァルツヴァルトのおよそ150m低いとんでもなく孤立したステーションにおいてもこの傾向が見られました。

このことから、人為的な地震波動場は考えられている以上に広がっていると言えます。シュバイツバルトステーションは低ノイズの基準として用いられることが多いため、とても有益な発見です。

一部ではアンスロポーズとよばれている世界的なパンデミックによって引き起こされた人為的環境負荷の減少による静寂は、2つの理由から科学への贈り物だ、と地震学者は話しています。

1つは、パンデミック前と、ロックダウン期間を比較することで、科学者は以前にまして人間の活動によって起こるノイズの特徴づけることができます。

2つめは、振動が弱まることで科学者たちは人口密集地付近では見落とされるであろう地震計の地震のシグナルをよりはっきりと聴くことができます。

「都市化や世界の人口が増えるにつれ、より多くの人々が地質学的に危険なエリアに住むようになります。」とベルギー王立天文台の地震学者で論文の第一著者であるトーマス・ルコック氏は説明しています

「ですから、自然発生によるノイズか人為的なものかを区別して私たちの足元の地面の動きを『聞いて』より監視を強めることが重要となります。この研究が新たな研究分野に弾みをつけることが出来るかもしれません。」

世界のいくつかの地域での活動レベルは戻りつつ(とは言ってもコロナ禍以前からは程遠いのですが)あります。しかしここ数ヶ月の静寂によって、将来のデータを評価するための新たなベースラインを作ることができました。

人口が増え続けていくことで将来的に地震監視がより複雑化していくでしょう。人為的ノイズを正確に特徴づけることができれば地球からのシグナル、特に震災に関するシグナルを評価することが容易になるでしょう。

コロナウイルスのパンデミックによるロックダウンによって、人間によるノイズと自然発生型のノイズが地球にどう相互作用するのかわずかに洞察を得ることができました。」とヒックス氏は話しています

「この洞察から、地球に耳を傾け、人為的なものと間違いかねない自然発生のシグナルを理解する新たな研究が誕生することを望んでいます。」

この研究は Scienceに掲載されています。

reference:sciencealert



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