火を発見するずっと前に人間の祖先は温泉で料理をしていた可能性

調理をすることが人間を人間たらしめると言われてきました。動物タンパクを火で焼いたり炙ったりすることで栄養価やエネルギーを増幅させ、大きな脳に燃料を供給するための材料を得ることができます。しかし、新たな研究によって必要な栄養素を得るために火が必要ではなかったことが提唱されたのです。私たちの祖先は火の代わりに温泉を利用して肉を茹でていたかもしれないというのです。ヌーを水熱で調理するなど想像できますか?

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最近の考古学的発見によって、ヒトが火を使うことを覚えるずっと前である180万年前、タンザニア北部のオルドバイ峡谷という大地溝帯の古代人が居住していたサイト付近に温泉があったという証拠が見つかりました。 Proceedings of the National Academy of Sciencesにこの発見は掲載され、マサチューセッツ工科大学(MIT)やスペインのアルカラ大学の考古学者らはヒトがこの地に住み着いたのは偶然ではないと主張しています。

彼らの発見から、当時は熱水噴出口が豊富だったため水を80℃以上に沸かすことができたと提唱しています。しかもその噴出口は、古代人が居住していたと考えられる動物の骨や石器が発見された場所から非常に近い場所に位置していたようなのです。これらの存在のタイミングから、古代人は温泉を調理に使っていた可能性が考えられます。

「もしヌーが温泉に落ちて調理されていたとしたら、食べない理由なんてありますか?」とマサチューセッツ工科大学とコペンハーゲン大学を拠点に活動している論文第一著者であるアイナラ・システィアガは声明で語っています。

初めてこの考えが浮かんだのは2016年にオルドバイ峡谷に考古学の研究で訪れている最中に、長さ3kmの露出した地層から170万年前の堆積物を収集しているのを見た時でした。この砂の地層はその下にある180年前の暗い粘土質の層とは全く違ました。当時の東アフリカで環境の大きな変化があり、世界が湿って緑豊かな土地から乾燥した草木地へとシフトした時期と一致しています。

さらに彼らは、イエローストーン国立公園にある温泉で発見された特定の細菌によって生成される脂質があった兆候を発見しました。このことからヒトがそこに住み始めた頃には温泉がぶくぶくと煮立っていたと考えられます。

「この細菌は水温が80℃以上でないと成長できないのです。」とマサチューセッツ工科大学のロジャー・サマンズ教授は説明をし、「アイナラ氏がオルドバイ峡谷の砂の層から持ち帰ったサンプルの中には高温だったことを示す細菌による脂質の集まりがありました。」と語っています。

もし水熱があったとしたら、180万年前の絶滅した種とどのように関係しているのかは不明です。しかし研究者らは彼らの発見がヒトの祖先が温泉をシチュー鍋のように調理に使う姿が容易に想像できると主張しています。とはいえどのように調理の可能性を見出したのかは議論の余地があります。動物が落ちたのを見て発見したのか?また、どのように食材を準備したのか?肉同様にイモ類も似て食べたのか?という疑問も浮かびます。

ヒトの火の『発見』に関する正確なデータは大な争点となっていますが、最も有力と思われる証拠によると、ヒトが火を使い始めたのは100万年前と言われています。170万年以上前に温泉を利用して調理をしていたという理論は無理があるかもしれませんが、ヒトの居住区近くに温泉があったという証拠から、火を使うことをマスターするずっと前からヒトが調理をして十分な栄養を取ることが可能だったかもしれません。

reference:iflscience



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