米国立衛生研究所が、テレビや照明などの明かりをつけたままにして眠る女性は体重増加割合が高くなる傾向があることを明らかにしました。
研究結果は臨床雑誌JAMA Internal Medicineに掲載されている。
Association of Exposure to Artificial Light at Night While Sleeping With Risk of Obesity in Women | Lifestyle Behaviors | JAMA Internal Medicine | JAMA Network
https://jamanetwork.com/journals/jamainternalmedicine/fullarticle/2735446
論文によると、43722人の35歳から75歳までの女性を対象に、2003年から平均5.7年追跡し、体重、睡眠、食事などを中心に様々なデータを収集。最初の面談にて、就寝時の光の状態を「光なし、少しの光、部屋の外に光、部屋の中にテレビか照明」の中から自己申告させ、被験者がどの程度の人工光を睡眠時に浴びているかを測定したそうです。
調査の結果、研究を開始した時には肥満でなかった女性であっても、夜間に人工光を浴びていると答えた被験者はそうでない被験者と比べ、肥満になる可能性が約20%も高くなったそう。さらに、テレビや部屋の明かりをつけたままで眠っていた女性は、夜間に人工光を浴びないグループと比べ、約5kgの体重増加を経験する可能性が17%も高くなっていることが判明しました。
ただし、研究者たちはあくまでも「睡眠時に人工光にさらされること」と「女性の体重増加」での相関を見つけ出しただけに過ぎず、夜間に浴びる光が体重増加や肥満を引き起こす直接的な原因であることが証明されたというわけではありません。
体重増加には「不健康な摂食行動」や「運動不足」などさまざまな要因が考えられますが、「睡眠不足」や「睡眠時の人工光への暴露」がこれらとどのように関連しているのかについては、まだ完全には説明できていない状況です。
今回の調査結果は決定的な結果を示したものではないものの、夜間に人工光を浴びる機会を減らすこと自体は悪い考えではありません。「明かりをつけて眠らないようにと忠告することは理にかなっています」と、論文の著者の一人であり、アメリカ国立環境衛生科学研究所の疫学部門の責任者でもあるDale Sandler氏は語っています。
今回は、テレビや照明などの明かりが調査対象であり、スマホやパソコンなどは含まれておりません。そのため、研究チームは今後、夜間の睡眠時に浴びるブルーライトが肥満とどのように関係しているのかについても調べる必要があるとしています。