長い間いじめに苦しんだ若者の脳の一部は萎縮を引き起こし、運動能力や高度な神経活動に影響が与えられていることがわかっている。
最近、大きなニュースとなってる「いじめ」。学校や職場など、一部の人は集団になると気に入らない人間を傷つけてしまうという汚い習慣があります。
チンパンジーやイルカなどの動物の間でもいじめが行われているということもわかっており、「いじめ」というのは動物としての一つの本能的な行動なのでしょうか。
そして、いじめによって傷つけられるのは身体や心だけではないことが2018年にイギリスのキングス・カレッジ・ロンドンより発表された研究で明らかとなっています。
その研究では、フランス・ドイツ・アイルランド・イギリスの若者682人を被験者として集め、MRIによる脳のスキャンと同年代との関係性についてのアンケートを行いました。
被験者は14歳、16歳、19歳の段階で同年代との関係性についてのアンケートに回答し、14歳、19歳の段階でMRIスキャンを受けたとのこと。
アンケートの結果から、回答者のうち36人が長期のいじめに苦しみ、646人が偶発的ないじめに直面したことが判明しました。
そして、長期のいじめを受けていた被験者の脳では運動と学習に関連する被殻と尾状核の左脳側の容積が大幅に減少していたことが見受けられました。
被殻は、運動能力や神経変性疾患の発展の観点で重要なさまざまなタイプの学習に影響します。また、尾状核は運動と植物神経系機能を調整し、高度の神経活動の過程に関与します。
この萎縮は一時的な状態なのか永続的なものなのかはまだ明らかになっていないとのことで、研究チームは被験者の脳を継続的に調査する予定。
また、研究チームはこれらの脳の萎縮の原因として、ストレスホルモンの「コルチゾール」をあげています。
虐待やいじめを経験した若者は慢性的にストレスによるコルチゾールを経験した結果として、通常時のコルチゾールレベルが低くなるとわかっているとのこと。
この現象はいじめを受けた若者だけでなく、帰還兵や性的暴行の被害者、強制収容所に収監されていた人の間でもみられるそうです。