2001年にインド洋の海底で発見されたばかりの「ウロコフネタマガイ」の生息地が、人間の海底掘削作業による影響で減少しつつあることが明らかとなった。
Red Listing can protect deep-sea biodiversity
https://www.nature.com/articles/s41559-019-0930-2
ウロコフネタマガイは、海底数千メートルに存在する熱水噴出孔という数百度の熱水が噴出する場所に生息している。
この過酷な環境に生きる彼らは、非常に珍しい外骨格を発達させた。外殻は鉄の層で覆われており、そこから伸びる柔らかい足は硫化鉄でできた硬い鱗によって守られている。噴出域の水は硫化物と金属の濃度が高く、ウロコフネタマガイはこれを鱗に取り込んでいるようだ。
また、彼らを覆う鉄の鱗は強度的にも非常に優れたものであり、米軍がこれをヒントに新型アーマーの研究開発を進めているほど。
ウロコフネタマガイは後生動物の中で唯一、骨格の構成成分として硫化鉄を用いる生物である。
そんなウロコフネタマガイが発見された3箇所の熱水噴出孔では保護活動が行なわれておらず、もうすでにそのうちの2箇所では採掘開始の許可が下りてしまっているのだ。
さらに、ウロコフネタマガイが他の環境でも生息可能なのかは明らかになっていないことから、彼らを保護するために新しい生息地へ移転することもできない状況。
7月18日には、国際自然保護連合(IUCN)によって正式に絶滅危惧種に指定された。
地球に生きられる生物の数には当然限りがある。生命の誕生から現在に至るまで行われ続けている種の存続をかけたイス取りゲームであるが、人間はそのイスを幾分か独占しすぎているようだ。
reference: livescience