アメリカ・サウスウェスタン大学の研究チームが、鳥の脳に記憶を埋め込むことで歌を教えることに成功。その方法は細胞を光で刺激するというもの。
研究論文は、「Science」に10月4日付けで掲載されている。
研究に用いられたのは、キンカチョウという小鳥。通常、この鳥は親などの成鳥が歌っているのを真似ることで歌を習得していきます。
研究チームは光遺伝学の手法で記憶を植え付けることでキンカチョウにさえずりを身につけさせることに挑戦しました。
光遺伝学とは光でタンパク質を制御する手法の総称。光でニューロン内部の感光性タンパク質の働きを制御し、ニューロンが発火するタイミング操作しました。
その結果、キンカチョウに今まで聞いたことのない歌の音節の長さを教えることに成功しました。
その後、研究チームはキンカチョウの脳に内在するNucleus Interfacialisとhigh Vocal Centerという2種類の『歌』に関連した脳領域にあるニューロン間の相互作用を遮断。
鳥が歌を学習した後で両領域の連絡を断ち切った場合、鳥は問題なく歌をさえずることができたそう。しかし、歌を学ぶ前に断ち切った時には、歌を学ぶことができないようになったとのこと。これにより、歌の音節の長さをつかさどる脳領域が特定されました。
人間の言語と鳥のさえずりに関する回路では、その複雑さは大きく違います。とはいえ、これらの鳥を使った基礎研究は、人間が言語を覚えることを可能にしている脳回路を解き明かすことにつながる可能性が秘められているのです。
reference: livescience, ut southwestern