植物が生命を脅かすほどのストレスを受けると人間の耳には聞こえない『超音波音』を発することが最新の研究で明らかになりました。音を収集することで、この音によって植物の状態を知ることができる言います。
「この発見は今までほとんど音を発しないと思っていた私たちの植物界への概念を変えるでしょう。」と論文の著者は検証前の論文としてbioRxivに投稿しました。
この調査結果は専門誌への掲載はされておらず研究結果の査読検証が行われていません。しかし、この発見が世界中の植物の進化や生態学の科学的理解に貢献するでしょう」と研究者たちは話しています
以前の研究では、『草食動物からの攻撃』と同様に温度や光の変化によるストレスによって植物の外見を変化させ、色や匂い、形を変化させることがわかっています。
ストレスを受けた植物は揮発性有機化合物を放出することもわかっていました。テルアビブ大学の研究チームは、植物が音も発するのかを調べるために水を与えず、茎を切ったトマトとタバコ、快適な環境に置いたトマトとタバコを比較し記録しました。そしてマイクを20~150kHZの超音波域に照準を合わせました。
すると、ストレスを受けた植物はストレスのない植物に比べ明らかに多くの音を発することが明らかとなったのです。研究チームは、植物がただ音を出しているわけではなく、何が起きているかによって音が異なると主張しています。
つまり、植物の身体状況を伝える音なのです。特別に設計された機械学習のひな形は、植物から発せられる音と周りの雑音を区別して水分不足なのか、それとも茎が切られたのかを特定できると報告しています。
植物には声帯がないのにどうやって音を出すというのでしょうか。おそらく空洞現象と言われている、木の内部で気泡が発生し爆発する、という内部プロセスの結果だろうと研究チームは語っています。空洞現象によって振動が起こる可能性が以前の研究でわかっていますが、音を発することとは関連付けられてはいませんでした。
驚くべきことに、植物が発する音は5メートル先からも検知されました。これはネズミや蛾など音に敏感な生物もこの音を聞いて理解することができる距離だろうと研究チームは考えています。
「私たちの研究によって動物や人間、または他の植物らがこの音を利用し植物の状態を知るための情報が得られるでしょう」と著者は述べています。
また、この研究が植物への理解と環境との対話への新しい扉を開き、特に農業分野へ貢献することになるとも付け加えています。植物の声を聞くことで、水が必要かどうかを監視し将来的に収穫量増加に役立つとが期待されています。
reference: IFLscience