先週、カリフォルニアのビーチに数千にも及ぶピンクでぷっくりした25cmほどの物体が打ち上げられました。これは住み家を失ったただのペニスフィッシュたちです。
英語では「ペニスフィッシュ」の愛称で呼ばれていますが、ペニスでも魚でもありません、なぜこの愛称かはご自分で考えてみてください。
これは海洋無脊椎虫の一種で、南オレゴン州からメキシコのバハカリフォルニア州の間の太平洋沿岸のみに生息する生き物です。この生き物の本当の名前はユムシと言いますが、英語では「太った宿屋の主人」という別名でも有名です。
この残念な愛称とソーセージに似た形状は数億年かけて形成された海岸沿いのU字型の穴を棲家にしているからなのです。その穴は彼らが食事をとったり、排便したりするのにちょうど良い場所とのこと。
穴に隠れて、口から粘液状の網を吐き出し、そばを通りがかったプランクトンやバクテリア、その他小さな食物片を捕まえます。その網を口に吸い戻すときにご馳走だけを選び、いらないものはお尻から水を噴射することで穴の反対側に出して捨てます。
ペニスフィッシュが食べずに吐き出したものは、例えばカニやエビ、ハマグリなど他の小さな海の住人たちのエサとなります。実際、ペニスフィッシュの穴では、寝床やエサを求める他の生き物たちをもてなす光景はよく見られます。「太った宿屋の主人」と呼ばれるのはここから来ています。
では、どうして太った宿屋の主人たちは同時に大量に浜辺に打ち上げられることとなったのでしょうか?
どうやら嵐が彼らを立ち退かせたようである、と生物学者のイヴァン・パー氏が上の写真を投稿したサイトBayNatue.comにて説明しています。大嵐、特にエルニーニョ現象に伴う嵐はこういった生き物が住む潮間帯(満潮時は水中だが干潮時水が引く場所)に大打撃を与えることがあります。
太った宿屋の亭主は再び宿屋を営むことが出来るのでしょうか?これはまだどうなるかわかりません。というのも、まだ研究が十分にされていない生物なのです、とパール氏は述べています。今後ペニスフィッシュのさらなる研究が必要となることでしょう。
reference: livescience