ボツワナでは5月以降2ヶ月以上に渡って350頭を超える大量のゾウが死亡するという不穏な報道がありました。
中には顔を下にして死んでいたゾウもいた事から突然死だったことが伺えます。死亡したゾウのほとんどはゾウの保護区でNG11という研究用地でもあるオカバンゴ・デルタ北部の水源付近で発見されました。ナミビア近くでは似たような報告は一度もありませんでした。
ボツワナは世界でも有数のアフリカゾウの生息地であり、135,000頭以上が生息しています。しかし世界的にこのような堂々たる動物たちは減少の一途をたどっているのです。
ジンバブエでは密猟者がゾウを毒殺するためにシアン化合物を使うことが知られていますが、今回はそのようなものは使われていないようなのです。というのも、ゾウたちの牙は残ったままで、その死体を食べたハイエナやライオン、ハゲタカなどの死体は見つかっていないのです。
昨年にボツワナでは炭疽病の突発や、干ばつによって死亡したと見られるゾウが100頭を超えました。しかしボツワナ政府は今回の大量死は炭疽病ではないと考えています。
ガーディアン誌のフィービー・ウェストン氏の報道によると、ゾウが輪になってぐるぐる歩いていたのを地元の人たちが目撃したそうです。この行動から神経系に影響を与える出来事がなにか起こったと考えられます。
「私たちは検体を送って調べているところなので、数週間くらいで結果がわかると期待しています。」とボツワナ野生動物国立公園庁の取締役代理Cyril Taolo氏はWestonの取材に答えており、検査の遅れがCovid-19の制限によることについても話しています。
生態学者でライオン保護団体理事を務めるピーター・カット氏、また他の自然保護活動家たちは、結果が出るまでどのくらいかかるのか心配しています。
「最初の死体が発見されてから1ヶ月経ちますが、なぜゾウが死亡したのか原因はまだわかっていません。」とカット氏はブログに投稿し、国の二大産業のひとつの観光産業へ重要な役割を果たしている動物の保護への対応が遅いことを批判しています。
他の種の動物は犠牲になっていないようではありますが、突然死したゾウの中には毒殺されたゾウもいただろうと懸念もしています。
最近までボツワナは危急種たちにとって安全な国でした。しかしゾウの密猟が蔓延っていることを2019年に科学者たちが報告しています。昨年ボツワナ政府はゾウ猟を解禁したことが人とゾウの争いの原因だとしています。
「干ばつでもないのに一度にこれほどのゾウが大量に死亡するのは前代未聞です。」と国立公園救助員で保全生態学者のニール・マッキャン氏はBBCの取材にこたえています。
「そうですね、これは大惨事ですね。そして公衆衛生の危機に発展する可能性もはらんでいます。」
他のゾウたちを守るためだけではなく、私たちの身の安全を確保するためにも早い解決が望まれます。
reference:sciencealert