年末年始の連休に飲みすぎたり食べ過ぎたりしませんでしたか? 心当たりがあったら、太り過ぎて飛べなくなったこのコキンメフクロウに同情してあげてください。残念な野生生物のお話です……。
今年1月初旬にイギリスのサフォーク・フクロウ自然保護区の近くで溝に落ちて動けなくなっているフクロウが見つかりました。丸々と太ったこのフクロウには「ぽっちゃりした」という意味の「プランプ」という名前が付けられました。発見当初、プランプはケガをしたか、翼がずぶ濡れになったために飛べなくなっていたのだろうと考えられました。ところが、詳しく調べてみるとこのメスのフクロウはただ太り過ぎていただけに飛ぶことができなかったと言います。自然保護区がフェイスブックに書いた言葉を借りると「極度の肥満」ということでした。
サフォーク・フクロウ自然保護区で獣医の診察を受けたときに話を戻すと、プランプの体重は約245グラムで、標準より三割も重いことがわかりました。余分な肉がついていたために飛ぶことができなくなっていたのです。プランプはコキンメフクロウ(学名 Athene noctua)という、よく見かけられる種のフクロウです。この種はヨーロッパやアジア、北米の温暖な地域の広い範囲に生息しています。
野鳥、ましてや猛禽類がひどい肥満になるというのは、おそらく、前代未聞のことです。プランプの状態は非常に特異な例とみられました。自然保護区の専門家たちは、プランプは過剰に餌を食べさせられる飼育環境から逃げ出して、野生地へ迷い込んできたのかもしれないと考えました。けれども、いくつかの実験をした結果、そうではないという結論に至りました。かわいそうなことにプランプはほかの誰でもなく、自分のせいで太り過ぎたと反省しなくてはならないのでした。
自然保護区の施設でプランプが回復に向かう間、猛禽類の飼育小屋でよく与えられる餌にプランクがどのように反応するのかを見る実験が行われました。イギリスの田舎で自然に生息していることのない、鮮やかな黄色のヒヨコなどの飼育用に使われる餌も与えたところ、驚いたことに、暗色のネズミなどの野生生物の方により強い関心を示して食べたのです。
「これは確実に天然の肥満と言える珍しい事例です!さらに調査したところ、プランプを保護した地域には野ネズミやハタネズミが大繁殖していることがわかりました。先月は冬としては暖かく雨がよく降ったためだと考えられます」と自然保護区のフェイスブックには書かれてあります。
「プランプが私たちの観察下に置かれて数週間経ちましたが、その間ずっと、食べる量を厳しく制限してきました」
この減量作戦はすばらしい効果を上げました。身軽になって以前のように飛ぶ能力を取り戻したプランプは1月末に放され、イギリスの野に帰ったのです。
reference:iflscience