広範囲にわたる健康被害と現時点で1,000人以上にのぼる死者を出した新型コロナウイルスCOVID-19(非公式には2019-nCoV)が、昨年12月に発見されて以来メディアを賑わせています。
しかし世界中の微生物学者がこのコロナウイルスを使ったワクチン開発を試みる中、科学者以外で実際に新型ウイルスの姿を見たことがある人は多くはありません。
そしてこの度、アメリカ国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)のロッキー山脈ラボラトリー(RML)が新型コロナウイルスの走査型透過電子顕微鏡画像を公表したのですが、その姿はというと…驚くほど芸術的なものでした。
上の写真に見えているのは、米国の患者から採取したCOVID-19ウイルスの走査型電子顕微鏡画像を色処理したものです。細胞は青とピンクに、その表面から現れたウイルスの分子が黄色に着色されています。
こちらは透過電子顕微鏡がとらえた画像です。先の画像ほど鮮明ではないものの、ウイルス表面にある突起を見ることができます。(この形状は「王冠」を意味するコロナウイルスの語源となっています。)
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もしこの画像に見覚えがあるなら、それはSARSやMERSを含むコロナウイルスの多くがこぶで覆われた球形という似かよった外観を持っているからです。
コロナウイルスの仲間は遺伝子が大変似ており、3種類のウイルスの間にはヌクレオチド5基分の違いしかありません。しかし人間に感染する時には、それぞれかなり異なる様相を呈する可能性があります。
なおこうした画像はチームワークによる協力の賜物です。RMLの研究員であるエミー・ドゥビット氏がウイルスを提供し、顕微鏡技師エリザベス・フィッシャー氏が撮影した画像を、メディカルアート部門が色付加処理しているのです。
reference:sciencealert