産まれてからほんの数秒後のことでした。赤ちゃんのイザベラちゃんが『ミームにぴったりの』表情をみせ、母と医者を喜ばせました。写真家のロドリゴ・クンストマンさんは2020年2月13日、ブラジルのリオデジャネイロで誕生したイザベル・ペレイラちゃんが産まれてすぐに医師をギロッとにらむ瞬間を写真に収めました。
クンストマンさんはウエディングや誕生の瞬間をおもに撮影する写真家で、イザベラちゃんの両親から赤ちゃんが誕生した瞬間を記録したいと依頼をうけたとのことです。
「赤ちゃんは泣かずに目をみひらき、『ふくれっ面』をしたのです。へその緒を切り、母親がキスをしてようやく泣きはじめました。」とクンストマンさんは Crescerにコメントを残しています。
帝王切開手術がちょうど終わったところでしたので、イザベラちゃんのお母さんは赤ちゃんが数秒間睨みをきかせた最初の表情は覚えていませんでした。しかし、写真を見たあと、お母さんは「ミームの準備をして産まれてきたのね。」とCrescerへコメントしました。
研究者たちが以前、赤ちゃんは母親のお腹の中で表情を身につけるのか、という問を投げかけたことがありました。わかったことは、34〜35週の胎児なら2つの『ゲシュタルト』、つまり笑顔と泣き顔の2つ(感情によるものではなくたんなる筋肉の動きとしての表情)は区別できるということです。
しかし、ここ数十年にわたっては、赤ちゃんが新しい表情を見たときにどう反応するかという研究に注目してきました。1975年の論文によると、産まれて数分の新生児は無表情や無作為に見せる表情にくらべて、その場に適した表情に対して大きな反応を見せたそうです。
産まれて数時間後には、赤ちゃんがお母さんの顔と知らない人の顔を見分ける能力を見せたのです。他人の顔の写真よりも母親の顔の写真を見つめる時間が長かったのです。産まれてたった14時間の新生児でさえも魅力的でない顔よりも魅力的な顔を好みます(大人の評価による判断です)。
5歳に成長するまでには、ほぼ大人と同等に表情を認識する能力が身につきます。イザベラちゃんもこのような過程を通って再び『ふくれっ面』を見せる日もそう遠くはないでしょう。
reference:iflscience