NASAの北極圏オゾン観測によって北極上空オゾン層に北極圏観測史上最大の大きな穴が形成されたことが報告されました。3月の観測気球のレポートでは、層の中心部のオゾンが90%減少したことが明らかになりました。
まだ状況の評価中ではありますが、これは地域最大のオゾン減少となりそうだということです。2011年と1997年に見られたオゾンホールは南極上空で観測されたような大きなものではないとみなされたためミニホールとしました。
「少なくとも2011年の時同様の減少があり、むしろそれ以上かも知れないという指摘もあります。」とニューメキシコ、ソコーロにある北西研究協会の大気科学者グロリア・マニー氏は Natureの取材に答えています。
1970年代後半からいくつかの化学物質が太陽から放射される危険な紫外線から私たちを守っているオゾンの層を減少させてきたことがわかっています。減少した結果、極圏にオゾンホールが形成されたわけです。
南極大陸上空のオゾンホールは毎年冬に形成されます。フロンに代表されるオゾンを破壊する様々なガスを廃止するための期限が設定されたモントリオール議定書が1987年に採択されたおかげで、オゾンホールのサイズが小さくなり始めたところでした。北極圏のオゾンホールは2019年には最小サイズへと縮小し、大きな目標を達成するために私たちは一丸となれることを世界に示しました。
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極端な減少は産業化学物質と、極圏に起こる特別な現象によるものです。気温が急激に下がることで氷晶を多く含む上層雲が形成されます。大気中の化学物質やフロンはオゾン層で侵食する雲の表面で反応を起こします。これらが反応を加速しさらにオゾンを効率的に破壊する完全な要因です。南極大陸は北極よりもはるかに気温が低く、オゾンホールが南極側に一貫して見られるのに対し北極側ではそれほどではないのはこのためなのです。
しかし、今年北極の気温が異常に下がり、新たに大きなオゾンホールが形成される条件がそろいました。今後北半球が太陽に照らされるようになる2~3週間後にどう状況が発展するのかは不明なため、科学社者たちは観測を続けていく予定です。
「今は、何が起こるのかを熱心に観測しています。」メリーランド大学カレッジパーク校の大気科学者、ロス・サラウィッチはNatureの取材に応じ、「ゲームは完全に終わったわけではありません。」とコメントしています。
reference:iflscience