今回のパンデミックによって親しい人の死を経験する人がたくさんいるため、何としてでも自分自身や愛する人たちを守りたいと思うのは当然のことです。しかし、不運にもCOVID-19から身を守りたいがために逆に健康被害を引き起こしている例があるというのです。
アメリカ疾病予防管理センター(CDC)は毒物ヘルプラインへの通報が増えていることを報告書にて明らかにしました。この増加は2020年1月19日に最初の症例が報告されたCOVID-19のマスコミ報道の増加に比例しています。
研究者たちは化学物質に晒されたこととCOVID-19予防との間に直接つながりがあるとは言えないとしつつも、CDCは洗浄用品や消毒剤による被害が2019年初頭の通報と比較して20%増加していることを報告しています。
55ヶ所の毒物管理センターへの2020年の1月から3月までの通報件数を2018 年、2019年の同期間と比較しました。それによると2018年初頭の件数は今年よりも16%ほど低かったのです。
2020年3月のはじめに最も大きな波がありました。洗浄用品の中では漂白剤がその大部分を占め、消毒剤部門ではノンアルコールの消毒剤や手指消毒剤が多数占めました。
「これらの報告された被害はCOVID-19関連のマスコミ報道の増加や洗浄用品や消毒剤不足の報告、地方や国家の外出禁止命令が出始めた頃とタイミングが一致しています。」と書いています。
ここ最近の増加以前から5歳以下の子供が受ける被害が通報の大部分を占めるという懸念がありました。それに関しては変わりありませんが、今年は化学物質による被害が全ての年齢層において増加しており、小さい子供に関する通報は最大で全体の半数となりました。CDCによって提供されたケーススタディによってその被害状況の恐ろしさが浮かび上がりました。
ある未就学児はエチノールが主成分の手指消毒材をどれだけ口にしたか分からないが、その後めまいを起こしバタンと寝てしまいました。両親が911に通報した時に、救急隊員はその子に反応がないことに気づき急いで病院へと搬送しました。
そして、病院スタッフはその子の血中アルコール濃度が273mg/dlもあることに気がつきました。これは通常大人が酒気帯び運転の法定基準がアメリカの多くの州で80mg/dlですので、その3倍を超える濃度なのです。幸運にも小児集中治療室で一晩過ごしこの小さな患者は回復することができました。
3月初頭、ラトガース大学微生物学者で食の安全の専門家であるドナルド・シャフナー氏は食品を石鹸で洗うことの危険性を警告しました。
「生鮮食品を石鹸で洗うことを推奨する人が多くいます。これはあまり良い考えとは言えません。石鹸は嘔吐や下痢を引き起こすことで知られています。」と彼はMetafactに説明を載せています。
またCDCが報告したほかの例に、食品を通してCOVID-19に感染する恐ろしさを伝えるものがあります。
食べる前に食料品を洗ったほうがいいというニュースを聞き、ある女性は食品を希釈した漂白剤とお湯で洗浄しました。残念ながら熱によって塩素ガスの発生を増加させてしまうのです。彼女は咳と息苦しさ、そして呼吸困難に苦しみ、血中酸素濃度を通常に戻すために病院で酸素吸入と気管支拡張剤を使う羽目となりました。
このような不注意からくる中毒は不明瞭なアドバイスの危険性、また誰の話に耳を傾けるべきか慎重に選ぶ必要があることを浮き彫りにしました。私たちが見てきたように、緊急時の急速に変化する性質はこういったことに注意することを難しくさせ、政治指導者や医療専門家が矛盾や危険なアドバイスをする可能性もあります。
ですからあなたがネット上はもちろんニュースで見聞きした情報でさえ疑って損することはありません。少しでも疑問に思ったら、CDCやWHOのような主要な世界保健当局に直接確認することが一番です。
今現在、洗浄や消毒についてCDCは次のようにアドバイスをしています。
食品を通してCOVID-19に感染した人がいるという証拠はないことを把握しておくことも重要です。シャフナー氏のアドバイスにあるように、果物や野菜を洗うときには冷たい水を使用しましょう。それでは皆さんお気をつけて。
掲載された調査結果はCDCのMorbidity and Mortality Weekly Reportに掲載されたものです。
reference:sciencealert