野生状態で発見された巨大なオタマジャクシはコーラの缶より大きく、しかも成長中です。かなりの大きさがある水棲動物を生物学者が見つけたのはアリゾナ州南東部にある浅い池で、サウスウエスタン研究所(SWRS)と協力して外来種のアメリカウシガエル(学名Lithobates catesbeianus)を駆除している時のことでした。なおSWRSはニューヨーク市にあるアメリカ自然史博物館科学局によって運営される通年の野外研究設備です。
アリゾナ大学の博士号を目指し、SWRSの爬虫類学者でもあるイーリン・マクギー氏はボランティアとして参加、ほぼ干上がった池を探っていたところ、通常の大きさを超えたウシガエルのオタマジャクシに遭遇しました。のたうち回る両生類はあまりに大きく、マクギー氏は7月23日のブログの中で最初は魚かと思ったと記しています。
この巨大な変わり者が生物学者に「ゴリアテ」と命名された背景は何だったのでしょう?マクギー氏が7月13日にツイートしたゴリアテの写真には、13,000以上の「いいね」と興味を引かれたコメント数十件が寄せられました。
ゴリアテは平均的なアメリカウシガエルのオタマジャクシよりはるかに大きく、その異様なサイズは「何らかのホルモン異常」をうかがわせるとマクギー氏は説明しています。この異常のため可哀そうなゴリアテは蛙に変態することができないとSWRSの研究チームは考えており、何がこうした異常状態をもたらしたのか現在調査中とのことです。
マクギー氏は本誌へのメールで、過去に巨大オタマジャクシを扱った研究はあるもののゴリアテは実物を見た中で最大のオタマジャクシだと語っています。しかし成長中のオタマジャクシにとって大きいことが良いことだとは言えません。
マクギー氏は「ゴリアテの大きさの問題は、呼吸循環系が成長に対して体の大きさを支えきれない点にある」と言います。一方で体の大きいウシガエルのオタマジャクシは小さなオタマジャクシと比べて大量に餌を取れるため、小さな池で食料が限られる場合には巨大オタマジャクシの方が有利となります。
合衆国魚類野生生物局(FWS)によればアメリカウシガエルは北米最大の蛙で、体長20cm以上、最大体重0.5kg程まで成長します。オタマジャクシの最大長は通常15cm程度です。この蛙は元々米国中部から東部の州に生息する種ですが、蛙の足が広く食用とされたため1900年代に南西部に持ち込まれ、今では本土の48州全てに住み着いています。
SWRSの研究チームはゴリアテを研究所に持ち帰り、水槽に入れて観察しました。オタマジャクシの実寸が分かるよう、マクギー氏はバナナやコーラ缶と並べた写真を撮っています。マクギー氏のツイートによれば、正確な寸法については成長速度や食餌習慣、行動様式と合わせて査読研究用にまとめられるとのことです。
reference:livescience