高度数百キロメートル上空の地球の軌道をまわっている国際宇宙ステーション(ISS)は完全に密閉された空間ではありません。毎日キャビンからほんのわずかな空気が出ており、居住に適した気圧に保たれているか、過度に漏れてはいないか注意深く監視されています。
2年前に漏れて以来再び漏れが確認されました。NASAが投稿したブログによると、ステーションの空気損失率は日常的な漏れであると説明がつく数値を超えるものだったそうです。
宇宙管制センターが最初に異変に気づいたのは2019年9月でしたが、空気漏れの増加はわずかなもので重大な懸念を抱くほどのものではありませんでした。現在漏れが増加してきたため、どこからもれているのかを探すことに本腰を入れ始めました。
現在ISSのクルーは危険な状態ではないものの、宇宙飛行士司令官のクリス・キャシディ氏とアナトリー・イヴァニシン氏は週末に宇宙管制センターが漏れている場所を特定する間、ズヴェスタサービスモジュールに篭らなくてはなりません。
「今週末、宇宙管制センターが各モジュールの気圧を監視できるようスペースステーションの全ハッチが閉じられます。」とNASAのマーク・ガルシア氏は綴っています。「このテストによるクルーへの安全上の懸念はありません。このテストによってどのモジュールが高い漏れ率を示しているのかがわかります。」
前回ISSで空気漏れが起こったのは2年前のことです。2018年8月29日地上管制によって協定世界時で23:00(米国東部標準時の19:00)に確認されました。当時も今回と同じ方法をとりクルーはロシアのセグメントに移動し、スペースステーションのモジュールを封鎖して大気圧を測りました。
この手順によってソユーズMS-09の宇宙船にもれがあることを突き止めました。これは当時ISSのラズヴェットモジュールに一時的に取り付けられたものでした。これによって2mmの小さな穴にたどり着き、製造工程のミスと推測されました。しかし、ロスコスモスは調査を終了したものの、穴の原因は明らかにされませんでした。
それ以前の漏れが確認され、穴が塞がれたのは2004年のことで、デスティニー研究室モジュールの窓の気圧を均一にするための真空ジャンパーケーブルからの漏れでした。
スペースステーションでは通常の気圧も変動するため、このような漏れをトラッキングするのは簡単ではありません。通常漏れ率に加え、気圧も気温の変動や宇宙ステーションの宇宙遊泳、無人宇宙補給機の離発着といったステーションオペレーションによって変化します。
ズヴェズダモジュールにいる週末中、クルーはできる限り通常通りの業務をします。特定のモジュールに漏れがあることを確認し次第、クルーは漏れた正確な場所の特定に動き出すことができます。
「アメリカとロシアの専門家らは、来週末までには暫定的な結果が出ることを期待しています。」とガルシア氏は投稿しています。
reference:sciencealert