ある女の子が、恋をしました。その恋の相手は、同級生の女の子。二人は愛し合っていましたが、世間がそれを許さなかった。 ついにその女の子は悲恋に耐えきれなくなり、自らの命を絶つ決意をします。
その方法は、なんと火山に落ちること。あまりにも悲しい結末ですが、この事件がセンセーショナルに報道されてしまい、同じ火山で同じように身を投げる人が続出してしまいました。
まるで漫画やアニメのようなストーリーですが、この話は80年以上前の日本で起きた 実話なのです。その火山の名前は、伊豆大島にある三原山(みはらやま)。
このように、実際に火山に落ちた人間は全世界に数多く存在します。火山に落下した人間はどうなってしま うのでしょうか。助かることはできるのでしょうか。
今回は人間が火山に落ちるとどうなるのかについてご紹介したいと思います。
皆さんは、火山に落ちると聞いて何を想像するのでしょうか。多くの人は、湧き立つ溶岩を湛えた火口に向かって真っ直ぐと落ちていき、赤い溶岩の池にゆっくり沈みながら生涯を終える、ようなことを思い浮かべるのではないでしょうか。
しかし、残念ながら実際に火山へ落ちるとなると、おそらくこのようなことにはなりませ ん。とはいえ安心してください。ほとんどの場合、命を落とすという結果に変わりはありま せんので。
初めに、火山と言えど火口に溶岩を構えている火山はほとんどありません。私達が火山と聞いて真っ先に思い浮かべることは火口に存在する溶岩ですが、以前のバイエンスでも紹介した通り、火口に溶岩を持つ火山は非常に珍しいものです。
というのも、多くの火山は火口に溶岩ではなく水を構えているのです。ではそのような火山に人間が落ちたら、どうなるのでしょうか。当然高さにもよりますが、待っているのは着水時の衝撃による死か、水に落ちた後の溺死でしょう。
要するに、普通の池に飛び込むのとまったく同じことが起こります。これではあまり面白くありませんね。この動画を見にきた皆さんは溶岩のある火山にダイ ブしたいはずです。そう!バイエンススーツの出番です。地球の火山程度に新型を使用するのは気が引けますが、まあ良いでしょう。
世界に1500ほどあるといわれる火山の中で、溶岩を持った火山は少ないながらも存在します。それらの火口に落下することを考えてみましょう。まず問題になるのが、溶岩に飛び込めるような場所に、どのようにして近づくかです。
多くの火山は上部がクレーターのようになっており、その中で溶岩を湛えている部分はほんの少しです。つまり、火口に向かって落ちるためにはクレーターの中を下り、火口に近づく必要があるのです。
しかし、それは容易なことではありません。2014年に、冒険家のサム・コスマン氏が、バヌアツ共和国アンブリム島の火口の間近まで近づくというミッションを敢行しました。
本格的な登山道具、耐熱用のスーツ、そしてガスマスクなどを駆使した難しいミッションになったとのこと。もし、それらの保護具を用いずに火口に近づこうとした場合にはかなり厳しい結末をむかえることになります。
おそらく、あなたはクレーターを下る途中で足を踏み外して転落死、あるいは数百度にもなる火口付近の気温による全身火傷での死亡、もしくは硫化水素などの火山性ガスで中毒死してしまうでしょう。
残念ながら溶岩を持つ火山に落下するのは想像以上に難易度が高いのです。とはいえ、私たちはバイエンススーツを所有しています。木星や土星に比べるとこの程度の環境はたいしたことがありません。容易にダイブすることができます。
溶岩は、普段私達が目にするような液体とはまるで違います。溶岩の構成物質によって幅があるものの、温度は摂氏700度から1200度にもなり、密度は水の2〜3倍、粘度は水の1000倍〜100000倍ほどになります。
高いところから水に落ちた場合、着水の瞬間、水はコンクリート並みの衝撃を与えます。それと同様、密度も粘度も水よりはるかに高い溶岩に落ちた場合、接触した瞬間の衝撃は計り知れないものになるのです。高さにもよりますが、全身骨折は免れないでしょう。
さらに、溶岩の比重は水の2 倍~3倍。人体の比重はほとんど水と同じであるため、ほとんど沈むことはありません。おそらく、溶岩の表面付近ですぐに発火してしまうでしょう。
一方で、十分に高いところから落ちれば、死は免れないものの溶岩の中にわずかに突入すること自体は可能です。すると、どうなるでしょうか。文字通り灰も残らないような素敵な最後を迎えることができるのでしょうか。
答えは、残念ながらノーです。溶岩の中において人体は爆発してしまうのです。 火山研究家のリチャード・ロスコー氏が、タンザニアのエルタ・アレという火山の火口に、30kgの生ゴミの塊を高さ80メートルの高さから投げ入れました。
その後起きることは、爆発です。これは、摂氏700度を超える溶岩に触れた生ゴミの水分が瞬時に沸騰し、水蒸気爆発を起こしているためと考えられています。
人体も生ゴミも、大量の水と少量のタンパク質や脂質が有機物の膜に包まれているという意味で、ほとんど同じです。つまり、溶岩に落ちた人間は瞬く間に爆発を起こす可能性が高いのです。
さて、ここまでご視聴いただきましたが、火山に落ちた人間は100%助かる見込みがないと感じるかもしれません。
しかし、火山に落ちたにも関わらず生還した人間は何人か存在して います。そのほとんどは溶岩に落ちたのではなく、溶岩に到達する遥か手前で運良く岩などに引っかかって一命を取り留めたものですが。
1 例のみ、溶岩の近くまで落ちたにも関わらず生還した例がありますが、それは落ちた火山が世界で唯一、ナトロカーボナタイトという温度が低い溶岩を持つタンザニアのオルドイニョ・レンガイ火山だったためでしょう。
火山に万が一落ちてしまった場合、幸運を祈るしかなさそうです。結論、火山に落ちた人間は、単純な転落死や溺死、全身火傷、中毒死、全身骨折、水蒸気爆発と多種多様な方法で命を落とすことになります。
火山に落ちる前にはバイエンススーツのお買い求めをお忘れなく、バ イエンススーツは常にあなたの身を危険から守ることをお約束します。