ゲノム編集によってブドウ並みに実をつけるトマトが開発される

トマトというのは少し面倒な植物です。枯れやすく十分な日照が必要でツルは絡まりにくく、この美味しい果実は特に狭いスペースでは育てるのが大変なのです。現在ゲノム編集によって研究者たちが作り出したトマトは、低木のようでツルがなく、うまくいけば生産者に完熟ミニトマトの花束を提供できます。

Credit: Lippman lab/CSHL, 2019

「長年かけて私たちは遺伝子を修正することで開花を制御し植物をもっとコンパクトにする方法を獲得しました。」とニューヨークにあるコールド・スプリング・ハーバー研究所の生物学者であるザッカリー・リップマン氏は話しています。しかし小さく育てて大きな収穫を得るためにどのように特性を組み合わせればいいか方法を確立するまでには時間が掛かったとのことです。リップマン氏は研究仲間とともに研究成果をNature Biotechnology誌に発表しました。

「花を咲かせるすべての植物は、葉を作ることを止め、花を咲かせることを植物に伝えるホルモンを暗号化している普遍的な遺伝子システムを持っています。」とリップマン氏は述べています。自然界ではこの二つの成長期間のバランスがよく取れています。しかし農作物の栽培者は作物の葉を実らせる時の成長段階に重きを置くので大きく育つのです。

しかしながら開花は果実や種(美味しいもの)を実らせるためにありますので、その段階を早める方法もリップマンらは研究しているのです。この研究で開花と果実の成長を早めるためには遺伝子の3番目のコードを編集すればいいことを突き止めました。

最初の2つの遺伝子コードはすでにわかっており、開花と果実の成長の加速に直接作用します。しかし今回の論文で明らかにした3番目の遺伝子は実は茎の長さを制御できるのです。CRISPR-Cas 9という免疫システムを使うことでこの3つ全ての稼働を止めると、40日以内で丈の低いミニトマトの花束を実らせることができるのです。

人間はこの数千年の間世代を超えて、望ましい特性になるよう繁殖させることで作物種の遺伝子工学に取り組んできました。この「繁殖方法というのは、突然変異で収穫高が上がった、または成長が早くなった植物を集中的に繁殖させることで行われてきました。このような作物は伝統的な農場で栽培するにはとても良い方法です。

しかし、現代の生活では新たな環境、あらたな形で栽培することが求められます。そして気候変動の影響に適応し排出を抑えつつ、増加し続ける世界の人口を養うためには急速に革命を起こす必要があるのです。そのためには昔ながらの農法のように数十年かけて栽培するのではなく、すぐに育ててすぐに市場へ出す必要があるのです。そのためにはゲノム編集が行われます。科学者は数十年かけて偶然起こる突然変異を即座に引き起こすことができるのです。

研究チームはこの植物を『都市農法トマト』と名づけました。というのも都市に住む私たちのために作られたものだからです。このような作物は、よりコンパクトに、より効率的に、そして広い農場ではなく垂直農法で育てられるのです。研究チームが開発した方法だと、開花を制御する遺伝子は普遍なので、ほかの作物にも『再現可能』です、とリップマン氏は話しています。

トマトが研究対象となったのにはいくつかの理由があります。サラダやサンドウィッチには緑の野菜とペアでトマトが使われます。これら緑の野菜は現在垂直農法で栽培されている唯一の植物であり、アメリカの様々な地域で行われていて成長産業とみなされています。

また、トマトはほかの果物同様暖かい地域で栽培されアメリカ本土に持ち込まれている価値の高い作物だからです。とリップマン氏は語っています。私たちの食卓にのぼるまでの輸送距離を短縮することは本当の意味での環境保護活動と言えるでしょう。

reference: popular science