免疫細胞は周りの細胞に相談してから外敵への攻撃を決断していたことが判明

細胞は集会を開き隣人たちと調整をしてから動き出すことが新たな研究でわかりました。

多くの人は大きな決断の前には友人や家族に相談することでしょう。そして、細胞も人間の体内で周りの細胞たちに相談していることがわかったのです。

科学者や内科医は昔から免疫細胞が感染し炎症を起こし、腫れて痛む場所まで移動するということはわかっていました。そして、ノースウェスタン大学とワシントン大学の研究者たちがこの細胞が集まってくるのは単なる免疫活性化の結果ではないことを突き止めました。免疫細胞は免疫システムをフル稼働させるかどうかは隣人を考慮してから決定するのです。

炎症にどう影響し免疫反応を作動させるかを理解することで慢性的な自己免疫疾患の治療法や、ガンと闘う免疫システムを作動させる治療が出来るようになるかもしれません。

「これは以前には認識されていない免疫機能です。」とこの研究をともに主導するノースウェスタンダン学のジョシュア・レオナルド氏はコメントしています。「細胞は組織的に決断を下します。一律に作動するわけではありませんが、過剰反応することなく驚異に立ち向かうためにどれだけの細胞が作動するかをみんなで決断するのです。」

「この研究のカギを握るのは新しい計算モデルの開発にかかっています。それによって実験を解釈し、どのような計算に基づいて細胞が首尾一貫した決断を下しているのかを解明することができます。」とレオナルド氏とともに研究を主導するワシントン大学ネーダ・バンゲーリ氏は話しています。

この研究は2月13日付けでNature Communication誌に掲載されています。

レオナルド氏はノースウェスタン大学マコーミック工学院で化学生物工学の准教授で、ノースウェスタン合成生物学センターのメンバーでもあります。バンゲーリ氏はマコーミック社の化学生物工学の准教授を務め、ワシントン大学の化学工学生物学助教授、ワシントン研究財団の調査員でもあります。

体の免疫システムは微妙なバランスを保つために常に作動しています。脅威が現れた時には免疫システムは感染症や病気に充分打ち勝てるように反応しますが、強すぎて逆に害となることも防ぎます。

「免疫反応について言えば、生死をわける重要な存在なのです。」レオナルド氏はつづけてこう話しています。「もし体が細菌の感染に対し反応しすぎると敗血症性ショック死に至ります。逆に反応が薄すぎると感染症が蔓延がして死亡します。健康体を維持するためにはこれらの両極端な状況のバランスを保たなくてはいけません。」

レオナルド氏とバンゲーリ氏らから成る研究チームは免疫細胞がどのようにしてこの決定を下すのかをさらに掘り下げたいと考えています。

マルドーン氏は「免疫システムは通常分散されています、免疫細胞は独立した細胞で協力して働く必要があり、自然が共通認識する方法を導き出したわけです。細胞は個々に作動スイッチを持ちながらも、全体としては細胞全体の反応は調整されているのです。」

この現象を探求するために、研究者は免疫細胞の一つで感染や病気と第一線で戦っているマクロファージを調べました。感染症に侵された警告とも言える細菌が生成する化学物質に対するマクロファージの個々の反応を繰り返し観察しました。そして新たな計算モデルを使ってこの観察結果を解釈し説明することができたのです。

「繰り返し観察を続けることで、細胞は隣人の存在を感じ取っていることがわかりました。」とマルドーン氏はコメントしています。「それぞれの細胞がいつでも作動する体勢になります。そして今、免疫システムをコントロールするものがあるとわかったので、この研究によって免疫調整に関する新たな研究課題への道が開かれたのです。」

研究チームはこの情報が細胞レベルの高度な治療だけではなく、新たな薬剤開発の一助にもなるだろうと信じています。

「生物学は複雑なプロセスを制御する本当に素晴らしい驚くべき方法を進化させてきました。」とレオナルド氏は話しています。「合成生物学者として、私たちは細胞を操作し腫瘍のある患者の体全体ではなく、局所的に免疫システムを作動させるといった治療方法をカスタマイズ出来るようにしていきたいと思っています。」

reference:sciencedaily