パンデミックに一筋の光、新型コロナウイルスのワクチンがまもなく臨床試験開始

米国マサチューセッツ州ケンブリッジに拠点を置くバイオテクノロジー企業、モデルナ・セラピューティクスがCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)用ワクチンの最初の製造バッチを出荷しました。

Microscopic illustration of the spreading 2019 corona virus that was discovered in Wuhan, China

1月中旬に中国の研究チームがCOVID-19ウイルス(正式名SARS-CoV-2)の遺伝子配列を公開してからわずか42日で、このワクチンは製造されました。

ワクチンのバイアル瓶を詰めた最初の1ケースが送られたのはメリーランド州ベセスダにある米国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)です。NIAIDは米国立衛生研究所(NIH)を構成する施設のひとつであり、この4月にも人を対象にした安全性試験の準備ができる見込みです。

また、NIHの研究チームも、レムデシビルというエボラ出血熱の治療薬として開発された抗ウイルス薬の治験をSARS-CoV-2の感染患者に行い始めています。これはCOVID-19の治療薬の臨場試験としては世界初となるものであり、ネブラスカ大学メディカルセンターの研究チームが主導するということです。

この画期的な研究に協力する最初のボランティア患者となったのはダイアモンド・プリンセス号に乗船していて陽性反応を示し、米国に帰国した乗客のひとりです。COVID-19と診断され、入院している他の患者たちも治験に参加する予定です。

レムデシビルは、二種類の関連するコロナウイルスに感染させた動物に対する試験において有望な結果を示しています。ひとつはSARS(重症急性呼吸器症候群)の原因となるウイルスであり、もうひとつはMERS(中東呼吸器症候群)を発症させるウイルスです。治験ボランティアたちは10日間、無作為に割り当てられた薬剤か偽薬のいずれかを静脈内に投与され、体内のウイルス量を追跡調査するために1日おきに血液検査および鼻咽頭検体採取を受けることになります。薬剤がSARS-CoV-2の血中濃度の上昇を抑える程度の効果しかないとしても、感染の拡大を防ぐのに役立つ可能性があります。

COVID-19に対するモデルナのワクチンは、膨大な量のウイルスを培養することを必要としない比較的新しい遺伝学的手法に基づいているため、記録的な短期間で開発されました。

ウイルスを大量に培養する代わりに、DNAから現れてタンパク質を作る遺伝物質とmRNAを詰めこんだワクチンを設計したのです。標的とするコロナウイルスのタンパク質をコードするmRNAを装備させたこのワクチンを体内に注入すると、リンパ節の免疫細胞がmRNAを加工し、他の免疫細胞が認識して破壊するためにマークすることができるような形状のタンパク質を作り始めることが可能となります。

今年2月にモデルナの社長、スティーヴン・ホウジ博士はTIMEの取材に応えて、このように説明しています。「mRNAは実際に生物における分子のソフトウエアのようなものです。

ですから、当社のこのワクチンは体にとってのソフトウエア・プログラムのようなものであり、機動すれば、免疫反応を起こすことのできる(ウイルスの)タンパク質を作るのです」すなわち、このワクチンの手法は迅速に機能を高めることができるので、COVID-19のような未曽有の病気が出現して何万人もの人々に感染し始めた危機的な時期に救済の手となるということです。

reference:observer