瞑想のプロであるチベット人僧侶の脳をスキャンした結果分かったことがこちらです

若返りの泉などというものはありませんが、あるチベット人僧侶はそのようなものを手に入れたかもしれません。ある分析結果によると実年齢41歳の彼の脳は33歳脳そのものだというのです。

Credit:Pixabay

このYongey Mingyur Pinpoch (YMR)という僧侶は有名な瞑想家であり師範でもあります。彼が瞑想を始めたのは9歳の時でした。YMRさんは『かなりの時間』を瞑想に費やし、これが実年齢よりも脳が8歳も若い理由の一つではないかと縦断的研究の研究員たちは説明しています。(縦断的研究は同じ指標を長期的に見ていくというものです。)

この研究結果は証拠を積み上げつつある『瞑想を行うことは生物学的老化の遅延に関連があるかもしれない』という研究にくわえて、2月26日にオンライン上で発行された Neurocaseにケーススタディが掲載されています。

この研究はウィスコンシン大学マディソン校精神健全センターにて、MRIを使ってYMRさんの脳を彼が27歳の時から14年間にわたって4回スキャンして行われました。

この期間、マディソン州やウィスコンシン州のYMRさんと同年代の成人105名の脳もスキャンしました。この105名は通常の脳の老化を知るための対象郡としました。

Credit:Adluru, N. et al. Neurocase. 2020

脳のスキャンを収集して、Brain Gap Estimation (Brain AGE)という脳の灰白質を観測することで人の脳年齢を推測する機械学習ツールを使用しました。

脳年齢を測るには灰白質の構造物を観察するのが最適です、とこの研究の主任研究員でウィスコンシン大学マディソン校の精神心理学教授で精神健全センター設立者兼ディレクターのリチャード・ダビッドソン氏は話しています。灰白質が脳の神経機構です、とデービッド氏は答えています。「脳が萎縮すると灰白質の部分が減少します。」

Brain AGEの分析家がグラフ化したところ、対象郡の人たちの脳が『典型的な年齢帯』におさまったのに対し、YMRさんの脳の老化スピードは遅かったことがわかりました。

「この重大な結果は6万時間以上もの時間を瞑想に費やしてきたチベット人僧侶の脳は対象郡の人たちの脳よりも老化が遅かったのです。」とダビッドソン氏は語っています。

Brain AGEはさらに、YMRさんの脳の特定の領域においては対照群の人たちと違いはなかったことを示し、「脳の老化の違いは灰白質内に広がる配位変化によって起こるのではないかと提言しています。」と研究チームは論文に記しています。

Brain AGEの分析家はさらに、YMRさんの脳は成熟が早かったことも発見しました。これが何を意味するのかはわかりません、とダビッドソン氏は話しています。しかし、研究チームはあるアイデアを提唱しています。

「脳には20代の後半にネットワークが構築される領域があります。例えば、自己制御や注意力を調整するのに重要な役割を果たす脳の制御領域がそれです。」とダビッドソン氏は話します。「瞑想家はこれらの領域の成熟が早いと考えられます。というのも、瞑想でそういった機能をする脳の領域を強化できると信じられているのです。」

精神健全センターによる別の研究では、ある種の瞑想によってこのような制御能力を強化できることを示しています、とダビッドソン氏はコメントしています。

しかし、さらに研究が必要です。今回のケーススタディの調査はたった一人の瞑想家の調査で終わっています。残る謎は、どれだけの瞑想をすれば灰白質が変化するのかということです、とダビッドソン氏は話しています。

さらに、YMRさんはユニークな人生を歩んでいます。12歳の時にYongey Mingyur Rinpocheさんの第7化身に即位したのです。10代にして師範となり、3年間年長者の僧侶や尼に瞑想を通して指導していた、と論文にあります。YMRさんは悟りを開き続け、研究に参加し瞑想と脳について研究者が学ぶ手助けをしています。

つまり、彼の『若い』脳が瞑想の賜物であるかどうかは定かではないのです。彼の生活の中にほかの原因があるかもしれませんし、瞑想が全てなのかもしれません。例えば、チベットの標高が高い地域で生まれた人の脳は老化が遅いという可能性だってあるわけです、とダビッドソン氏は話しています。もしくは、YMRさんの健康的な食事や汚染の少ない地域での生活が原因かもしれません。YMRさんと似たバックグラウンドの対象郡との比較がこの謎を解く鍵となるでしょう。

しかし、ダビッドソン氏は脳が若ければ長生きするのかどうかはわからないとも書いています。

そうだとしても、研究では瞑想は健康に良いと提言しています、とオハイオ州立大学ウェクスナーメディカルセンターの神経学者であるKiran Ranjneesh博士はこの研究には参加していませんがこのように話しています。

「生物学的には説明がつきます、というのもストレスが老化を引き起こす原因になるのです。」とRanjneesh氏はliveScienceの取材に答えました。「精神的ストレスもそうですが、細胞レベルで起こるストレスもそのひとつです。」

Rajneesh氏はさらに、「これは、間違いなく私たちも取り入れることができることです。ほんの数分間の瞑想で私たちの老化をわずかに遅らせることができるかもしれません。」

reference:livescience