6年間もの間、正体を明かさず刑務所に収監され続けている男

身元不明者の謎が表立って解決される見通しはなさそうです。身元を明かせば「自分自身に不利な情報を開示しかねない」との懸念を収監中の男の顧問弁護士が表明し、これに応えたカナダ入国管理局が聴聞会を非公開としたためです。この男は裁判所に「身元不明者」として認定され、本当の身元を明かそうとしないことから6年以上にわたって収監されています。

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2013年の大規模詐欺事件の際にトロントで男が逮捕された当時、入国管理当局はカナダでの滞在資格を持たない男を強制送還しようとしました。しかし男の身元と国籍が分からなければ送還できず、そうかと言って釈放するわけにもいかなかったのです。

男は40才のフランス人エルマン・エマニュエル・ファンカンと名乗っていますが、フランス当局によれば男の身分証明書は偽物で、パリの偽造組織から買ったものだと言います。

11か国を巻き込み何年にも及んだ捜査の過程で各国警察は複数人物との指紋照合に成功しましたが、男の身元はその後も不明のままです。英国警察によると男はカナダ入国以前、詐欺で何度か有罪にされているとのことです。

この事件はカナダ入国管理局(IRB)の入国管理部で扱われ、聴聞会は法の定めにより公開されることになっています。この措置は他の裁判と同様であり、例外は限定されます。先月男の顧問弁護士であるスワティ・セカール氏から非公開要請を受けたIRBのジーン・マーク・マッケーブ判事は本件を非公開とするよう命じ、本紙が立ち会うこともできなくなりました。

理由は「これ以上の苦痛を与えないため」です。メディアへの通告はなく、反対意見の機会が与えられることもありませんでした。本紙は再度の公開を申請しましたが先週の木曜日に却下され、金曜日にその旨の通知を受けています。

マッケーブ判事へのセカール氏の主張は、「ファンカン氏の精神健康状態に関する重大な懸念」があり、「聴聞会におけるメディアの存在とそれによる複数個所への搬送が過度のストレスを与え、従来の非協力的な態度に戻らせてしまう」というものです。

要請の根拠としてセカール氏は2017年IRBが指名したファンカン担当代理人の宣誓供述書を提出。代理人が法的手続きの性格に不賛成との意見を示した点を指摘しました。代理人のジュリー・ラソンド氏はこう述べています。「この段階でのメディアの存在と参画は、自己の利害にとって不利な情報を開示する可能性があることからすれば、拘留中の被疑者の利益を侵害しかねないと考える。」ラソンド、セカール両氏によればファンカンが彼らを信用して手続きに協力するようになったのはつい最近のことだそうです。

マッケーブ判事は本紙の要請を却下し、自身の判断についてこう述べています。「メディアの存在によって被疑者が以前の接触拒否状態に戻るという論旨は肯定できる。潜在的な懸念があれば何らかの対応が相当だろう。」将来にわたるファンカンの拘留期間も要因の一つだと言います。「拘留期間の長さは明らかに被疑者の非協力的態度によるものだが、自由と権利が6年にわたって制限を受けてきたことも事実だ。」

オンタリオ州弁護士協会の記録によると、セカール氏は法律の運用を禁じる行政処分中にファンカンの代理を務めていたようです。セカール氏は処分が撤回されたと主張しますが、弁護士協会は否定しています。「私たちの記録ではセカール氏は2019年4月9日に発効した行政要件によって業務停止処分を受けています。登録料未払いや書類未提出などでこの種の処分を受けると法律の運用が禁じられ、法的業務に従事できなくなります。」弁護士協会の広報を担当するゲレク・バデイサン氏は月曜日にこう語っています。

メディアの存在によって被疑者が以前の接触拒否状態に戻る

行政処分について聞かれたセカール氏は本紙に対し、原因は年間報告の提出期限切れだと答えました。「現在既に提出済みとなっています。」ただ提出時期などの関連情報については明かしませんでした。

「あなた方に情報を渡す理由がないのでこれで話は終わりです。」セカール氏はインタビューの前の部分で、ファンカンの件を非公開としたIRBの決定は正しいと述べています。しかしファンカン自身、あるいはその精神状態についての話は拒否しました。「顧客から何一つ話す許可を得ておらず、それがない限りは誰にも話せません。彼が望むのであればメディアにも喜んでお話ししますよ。」

IRB広報のアンナ・パプ氏によればIRBはセカール氏の業務停止処分を認識しておらず、影響が生じるようなら状況を確認するとしています。「私たちが認識した以上、入国管理部における代理人の今後の業務が入国管理法第91項に照らして適法と言えるか確認することになるでしょう。」 

ファンカンとして知られる男は45万ドルを騙し取った疑いにより2013年にトロントで逮捕されたと、当時警察が発表しています。強制送還を迅速に行なうため告発は全て取り下げられました。しかし身元詐称が判明したため移送が止まってしまったのです。

男はそれ以来収監されており、カナダ国境サービス庁(CBSA)が男の身元調査を続けています。CBSAはファンカンの件でIRB側に立つ組織ですが、非公開申請には懐疑的です。ファンカンの態度は好戦的かつ非協力的で、月例拘留検討調査への同席を51回にわたって拒否し続けています。各国警察がCBSAに寄せた情報では、ファンカンの指紋は2人の異なるカメルーン人、ハイチ人、さらにもう1人国籍不明の男と一致するとのことです。

reference:national post



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