米国海軍は太平洋上の艦船が「半導体レーザー」を用いて飛行中のドローンを撃墜したとの発表を金曜日に行ないました。サン・アントニオ級ドック型輸送揚陸艦USSポートランド(LPD-27)が「レーザー兵器システム成熟技術デモンストレーター(LWSD)」を無人飛行機(UAV)に対して先週使用したという内容です。

海軍によれば、この種の高出力半導体レーザーがデモンストレーションで使われたのは初めての事です。艦船で司令官を務めたカリー・サンダース海軍大佐はプレスリリースでこう述べています。「UAVや小型機に向けて高度な海上テストを行なうことにより、仮想敵に対抗する半導体LWSDの能力に関して貴重な情報を得ることが可能となります。」「半導体LWSDはポートランド艦において海軍が試験運用するユニークな装備であり、将来の兵器システムに道を開くものです。新たに得たこの最新機能により、我々は海軍における洋上戦闘の意味を再定義することになります。」
海軍によると、この兵器はUAV、武装小型艇、敵対勢力の情報・監視・偵察システムといった「増加する脅威」への対抗を目的として開発されているものです。海軍はUSSポンスに搭載された30kW級レーザー兵器システム(LaWS)など、既に他のレーザー兵器も艦船で使用しています。
海軍がレーザー砲を用いて艦隊を防御しようとしているのはドローンだけではなく、中国などの競争相手が配備する長距離ミサイルも対象としています。これらはアメリカの空母打撃群による航空機やミサイル攻撃の範囲を超えているのです。中国の地上発射ミサイルに対する空母打撃群の迎撃能力にはミサイル数の面で限界があり、そのためレーザーが加わることに意味があります。
米国陸軍も独自にレーザー兵器「間接火器防御用高出力レーザー(IFPC-HEL)」を開発中で、300kWに達する出力によりロケット、大砲、迫撃砲を迎撃する能力が期待されています。
一方、海軍研究局は2015年ノースロップ・グラマン社に対し、150kW級LWSD開発計画用として5,300万ドル(約57億円)の拠出を許諾しました。「我々は1撃あたりディーゼル燃料1ガロン(約4リットル)程度のコストで海軍に精密な防御手段を提供することができます。軍隊だけでなく、その予算も守るということです。」当時の開発部長であるガイ・レナード氏はこのように述べています。
reference:sciencealert