15km離れた死体を外科医が手術することに成功

この程ある外科医が15kmも離れた所からリモートで死体を手術するという、驚くべき芸当をやってのけました。ソーシャル・ディスタンスの極みとも言えるこの医術を可能としたのが5Gネットワークを介して手術を実現するロボット技術です。

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今回の遠隔手術に関しては「Annals of Internal Medicine」に記述されていますが、これ程の距離から実施できたのは5Gの高速広帯域性能のおかげです。遠方から死体の声帯を手術するといった繊細な作業は第五世代の通信技術あってこそのものです。5Gについては(有害電波と言った)根拠のない暴論もありますが、5Gの技術が何らかの害を及ぼすことを示す証拠はありません。

人体に対する遠隔手術は2001年、ニューヨークの外科医がリモートで腹腔鏡を用いてフランス・ストラスブールにいる患者の胆嚢切除手術を行なったのが最初の例です。

手術に当たる臨床医が患者と離れた場所にいた点では驚異的な偉業と言えますが、当時の技術では執刀医への情報フィードバックに遅れがあり、広く安全で信頼できる方法とは言えませんでした。外科手術においては患者の状態変化に臨床医が素早く反応して意思決定できるかどうかが極めて重要であり、通信の遅延が深刻な問題だったのです。

5Gの登場でもたらされた優れた接続能力によって、外科医へフィードバックされる情報についても効果的な手術を行なうに足る速度が保証されるようになりました。これによってミラノのヴォーダフォン・ビレッジにいる外科医が最新の遠隔手術用ロボットシステムを使って死体の声帯を手術する事が可能となったのです。

死体が置かれていたのは外科医がいた場所から北東に15kmほど離れたサン・ラファエレ病院の解剖研究所でした。手術は成功し、外科医が手術用ロボットや鉗子、あるいはレーザーを効果的に使いこなして精度の高い声帯レーザー切除を死体に適用できることが示されました。

もし遠距離で外科手術を再現できるのであれば、国際宇宙ステーション(ISS)の宇宙飛行士に対する医療に中心的な役割を果たすことになるかもしれません。ISSで病気になった場合、救命手術として取り得る手段は今のところ限られているのです。

今年初めISSでNASAのミッションに当たっていた飛行士が首にある内頸静脈の深部静脈血栓症と診断されたのですが、これが地上の医師が治療に当たる初めてのケースとなりました。この他にも遠隔手術は戦争、疫病、自然災害に襲われた地域の患者に対してより早く救護の手を差し伸べ、アエロゾルなどによる感染症患者からの伝染を抑えて執刀医の安全を確保する手段ともなり得るのです。

reference:iflscience



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