米コロンビア大学の博士課程に在籍するクロエ・グスタフソン氏らの研究チームは、ニュージャージー州沖からマサチューセッツ州の島マーサズ・ヴィニヤードまでの90キロメートルにわたって海底下の帯水層を測定し、2019年6月18日、一連の成果をまとめた研究論文を科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」で発表した。
研究論文によると、帯水層はアメリカ大西洋岸で350キロメートル以上に伸び、2800立方キロメートルの低塩分地下水が存在しているとみられている。水量にするとなんと推定739兆ガロン(約2797兆4193億リットル)にもなり、これは世界最大規模。
1970年代に石油を求めて海岸線を掘削した際、石油の代わりに水が見つかったことで海底に淡水があることが分かっていた。これだけ水があれば、塩分除去は必要なものの、世界中での水不足問題を少しは解決できるかもしれない。(塩分除去に要する費用は、海水の塩分除去に比べて遥かに少ない)
研究チームは、2015年にコロンビア大学ラモント・ドハティ地球観測研究所の探査船で10日間にわたって、ニュージャージー州南部からマサチューセッツ州のマーサズ・ヴィニヤードまで海底下の電磁場を測定した。
使ったのは2つの海底電磁探査法(EM法)。海底にレシーバーを置いて、船でトランスミッターを牽引しながら電磁波を計測。塩水は淡水よりも電磁波の伝導率が高いため、EMデータを見れば水の種類も分かるのだ。
こちらのマップがその結果をまとめたもの。
三角の印が探査船で調査を行なった地点で、データが似通っていたため他の地点の観測結果と併せて結ぶとこのような広さになったそうだ。もう少し詳しく調べる必要があると論文著者は語る。
今回は、米東海岸の沖合いで水がほぼ真水の状態で湧く巨大帯水層が発見されたが、同様の帯水層は「もしかしたら世界中の海底にあるのでは」と期待が持たれている。