身長というものは、年頃の時期になると男女関係なく、たくさんの人の悩みの種となる問題であります。寝る間を惜しんで、身長に関する情報を調べに調べた経験がある人も少なくないことでしょう。
多くの人に注目される分野である「身長」ですが、その注目に比例してたくさんの研究が世界中で行われています。今回は、そんな身長について明らかとなっている科学的知見を紹介しようと思います。高身長の人ほど年収が高いなどの有名な内容は省き、あまりたくさんの人に知られていないものを集めました。
米オハイオ州立大学の研究によると、高身長の人は高い空間認識能力を持つことことが明らかとなりました。
オハイオ州立大学の研究チームは、背の高さと空間的な認知との関係を調べるため、正常な視力を持つ24人を集めました。高身長と低身長、男性と女性は半々で、高身長は目の高さが平均173.4センチ、低身長は目の高さが149.3センチのグループ。
参加者たちは明るい場所、緑色のLEDがある以外は真っ暗闇の部屋、基準点として天井や床に薄暗いLEDが付いた暗い部屋、の3つの異なる条件でターゲットまでの距離を予測するように頼まれました。参加者は、初めにターゲットの位置を確認し、取り除いた後でターゲットがあった場所まで歩かせることで空間認識能力を計測しようというわけです。
その結果、背の高い人は背が低い人に比べると、ターゲットまでの距離をはるかに正確に認識していたことが明らかとなりました。
オランダのアムステルダム自由大学の研究チームが背が低い男性ほど攻撃的な性格であることを科学的に実証しました。
研究チームは、様々な身長の被験者42人をランダムに2人1組のペアにしました。成立したペアはお互いに相手を確認し、その後に別々の部屋に引き離されます。
次に参加者は、別々の部屋の中でそれぞれ18枚のコインを渡され、ペアの相手にこのコインを何枚分け与えるのか質問されるのです。何枚与えるかは自由で、18枚全部渡してもよければ、1枚も分け与えないという判断も可能です。
研究チームは参加者の身長に注目してこの回答データを分析しました。その結果、170センチ前後の人物は平均で4枚を相手に渡す判断をしていました。一方、身長2メートル前後の人物は平均9枚、つまり手持ちコインの半分を相手に渡す判断をしていたのです。もちろん被験者たちは、相手側のグループもまたこの同じ課題を与えられていることは知らされていません。
身長の低い男性のほうが利己的であることが示唆されることになったのですが、これは例えば木の高いところにある果物や木の実などへのアクセスのように、高身長よりも低身長は傾向として食べ物などの資源を得難いことから刷り込まれている性格的特徴であると説明できるという。したがって低身長の男性は自分の“分け前”を多く残しておこうとするということです。
そしてさらに低身長男性に都合が悪いことには、もしペアの相手に再会して面と向かってコインの授受をしなければならないとすれば、低身長男性は一転して半分近くのコインを差し出すということです。これではますます低身長男性のイメージが悪くなってしまう。
研究チームは今回の研究結果をもってナポレオン・コンプレックスは実在する現象であると結論づけている。そして低身長男性が自分の身に直接危害が及ばない状況下では利己的で攻撃的になるということが、SNS全盛時代の今日ではネガティブに働くことも研究チームは指摘しています。
米カリフォルニア大学リバーサイド校の研究チームが、身長の高い人は、体内の細胞がより多くなることから、がんのリスクも高まるとの研究結果を発表しました。
この研究によれば、平均身長から10センチメートル身長が高くなるごとに、がんが発症する危険性が10%増加するといいます。理由としては、がんに変異する可能性のある細胞が増えるからだといいます。
今回の研究での平均身長は、女性が162センチ、男性が175センチ。
さらに、研究チームは男女それぞれ1万人以上を含む過去の研究データを複数分析しました。
その結果、人体の全ての細胞の数とがんを発症する可能性について、23種のがんのうち18種で関連が見つかったという。
研究ではまた、女性のほうががんのリスクが高いことが分かりました。より背の高い女性ががんにかかる可能性は12%だが、男性は9%。結腸や腎臓のがんや、リンパ腫で最も強い関連がみられたそうです。
ただ、別の専門家からは、高身長によるがん発症リスクの増加は、ライフスタイルの変更による影響と比べると小さく、禁煙や健康的な体重の維持といった肯定的な変化を引き起こす取り組みのほうがより重要だとの見方も出ているため、この研究結果が絶対であるわけではない。
ニューヨーク大学の社会学者アビゲイル・ウィッツマンとダルトン・コンリー両氏が行った研究によると、平均身長以下の男性は、高身長の男性よりも離婚率が低い傾向があることが明らかになりました。しかも、低身長男性は「自分よりも教養が乏しい、かなり若い女性と結婚し、妻よりずっと高所得者」であるという結果になったそうです。
一方、身長の高い男性は早く結婚するが、離婚も多いことが分かりました。しかし、背の高い男性は低身長の男性よりも家事参加率が高いことが報告されています。
これに関しては、アメリカの研究であり、内面性の部分は国民性で変化する部分もあるため、日本人に当てはまるかは分かりません。
様々な研究結果がある中で、一つ言えることは高身長であっても低身長であっても、メリットとデメリットの両方が存在するということであります。自分の現状を満足させるには、なによりも心の持ちようが大事なのかもしれませんね。