地球上でオーロラが観測できる場所は、地磁気緯度にして65~70度のドーナッツ状の地帯で「オーロラ帯」と呼ばれており、主な観測点としてアラスカやカナダ、北欧などの高緯度地域に多くあります。
しかし、1859年にオーロラが低緯度地域であるハワイで観測されたことがあるのです。この瞬間には世界中でオーロラが観測され、ロッキー山脈では明るさのために鉱山夫が朝と勘違いして朝食の支度を始めてしまうほどであったそうです。
オーロラというものは、太陽から吹きつける高速のプラズマ粒子が地球の磁場とぶつかり磁気圏を乱す過程で発生するのですが、いつもは南極や北極付近でとどまっているはずのプラズマ粒子が、赤道付近までやってきたということで、大変な非常事態です。
プラズマ粒子が飛来するのは、基本的に太陽表面でフレアと呼ばれる爆発が発生した際で、爆発が大きければ大きいほどその量も多くなります。そして、赤道付近にまでオーロラが現れるほどのプラズマ粒子が地球に届くと、地球の大気中にも電気が充満します。
空気中に電気が充満した場合、さまざまな電子機器が火を噴く事態が発生します。電気をつないでいないテレビなども空気中の電気が入ると、電流が流れてしまいます。焼けて煙が出る程度で済めばいいですが、ひどければ火を噴く、あるいは爆発するかもしれません。
人工衛星などもかなり影響を受けるため、GPSは機能しなくなります。そのため、航空機もレーダーから消え、最悪の場合墜落してしまいます。そうなった場合の被害は計り知れないものになるため、大規模なフレアが確認された瞬間、全ての航空機を着陸させる必要があります。フレアが発生してから、プラズマ粒子が地球に届くまで約2〜3日であるため、空から航空機の雨が降ることは避けられるとは思いますが。
1859年にハワイでオーロラが観測されるほどのフレアが発生したときには、有線電信をはじめて間もない頃で、現代のように多くのことに電気を使っていなかったため、あまり影響はなかったそうです。
とはいうものの、電信用の鉄塔は火花を発し、電報用紙は自然発火しました。さらには、電源が遮断されているのにも関わらず送信や受信が可能であった電報システムもあったそうです。
現代にこのクラスの太陽爆発が起きた場合、電気文明は崩壊し、2000年前の暮らしに戻ってしまうことでしょう。
最悪の事態を招かないためにも、備えというものが必要なのかもしれません。