日本でも本格的な夏が始まり、海や川、プールなどで泳ぐ機会も増えることでしょう。そして、速く泳ぐために必要なのはやはり水の抵抗力を減らすことです。
一昔前の男子競泳では、水の抵抗を減らすために体毛を剃って、小さなビキニパンツを履くというのが一般的でした。しかし、最近では水着の面積が狭くなるどころか広くなり、膝の近くまでを覆うほどです。
そうした出来事の理由として、人間の肌より少ない水の抵抗を実現した競泳水着の存在があげられるのですが、水の抵抗を減らすにはどういったことが重要なのでしょうか。
競泳用の水着は、「すべすべで水をはじき易い」 「水をはじき易いものは水の抵抗が少ない」「ザラザラしていると抵抗が大きい」と思う方も多いでしょう。実際にそう考えられていた時期もありましたが、これが必ずしも正解とは限らないのです。
人間よりも圧倒的に速いスピードで泳ぐことのできる哺乳類として、イルカなどが挙げられます。その速さは時速数十キロメートルにも及びます。そんなイルカの肌は一見、ツルツルしているように見えるが、実はザラザラしているのです。
時速70キロメートルのスピードで泳ぐことのできるアオザメも、サメが鮫肌と呼ばれているようにザラザラしています。アオザメのウロコを電子顕微鏡で確認すると、三つ又のほこのような形をしていることが分かります。
最先端の競泳水着でも、魚類などの皮膚を参考にして作られているものもあるそうです。
飛行機やロケットを作った人間であれば、野生動物よりも速く泳ぐことのできるマシーンを作れるのではないかと思うかもしれませんが、原子力潜水艦が水中で時速75キロメートルほど。とはいえ、潜水艦はどの国でも軍事機密のため、詳細なスペックはほとんど公開されていません。そのため、これ以上のものもあるかもしれません。
他の種類の船にしろ、その船体の形状だけではなく、船体に塗る塗料と水との関係、「撥水性」「親水性」により、性能が全く変わってしまうのです。