イギリス・エクセター大学のマドレーヌ・グーマス氏らの研究チームが、カモメに食べ物を奪われないためには「カモメに視線を送りつづければ良い」という研究結果を発表した。
この研究の詳細は、科学誌『Biology Letters』に8月7日付で掲載されている。
イギリスのコーンウォール州にある海岸でセグロカモメを対象に実験が行われた。セグロカモメは、ユーラシア大陸の北部から中部、イギリスや北アメリカ大陸北部などで繁殖をし、日本では冬鳥として渡来する。最も普通にみられる大型カモメ類である。
研究チームは、「カモメに食べ物を取られないためにはヒトがカモメを監視すればいいのではないか」という仮説を立て、カモメに様々な状況下のもと食べ物を見せびらかしてその反応を観察した。
フライドポテトを入れた袋を地面に置き、そこから1.5メートル離れた場所で待機。「カモメに視線を送りつづけた場合」と「カモメから目を離した場合」のそれぞれにおいて、カモメがフライドポテトを奪うまでの時間を計測した。
実験は、フライドポテトに接近してきた計74羽のカモメに対して行われ、そのうちの19羽には「カモメに視線を送りつづけた場合」と「カモメから目を離した場合」の2パターンを実行することができた。
その結果、カモメに視線を送りつづけた場合には、カモメがフライドポテトを奪おうとするまで平均で25秒ほどかかり、19羽のうち6羽は300秒が経過してもフライドポテトを食べようとしなかった。
そして、カモメから目を離した場合には、すべてのカモメがフライドポテトを奪おうとし、クチバシでつつくまでの平均時間は13秒であったとのこと。
このことから、カモメは人間からの視線を確実に察知しており、それにより行動が変化したことが示されている。そのため、食べ物を奪われたくない場合には周囲のカモメを凝視することが重要だという。
今回の実験でフライドポテトが袋に入れられた理由は、フライドポテトにはカモメにとっては非常に多い量の油分が含まれており、万が一食べてしまうと体調を崩してしまう危険性があるため。
これから海に行く機会の増える時期、カモメに食べ物を奪われないためにもしっかりと視線を送りつづけたい。
reference: science