ウロコムシあるいは「エルビスワーム」と呼ばれる、4種類の新種がウロコムシ科 に追加されました。この新しい発見でエルビスワームは、実際に住んでいる太平洋の海底にいるというより、賑やかな家にいるかのように見えます。
ウロコムシの種類は膨大で、900種以上が確認されています。潮間帯など人類が近づきやすい場所に生息している種もいますが、大部分は、巨大な圧力、恐ろしいほどの高温および酸性水に耐え、熱水噴出孔周辺など人類が立ち入れない場所に生息しています。
カリフォルニア大学サンディエゴ校の学生であるエイブリー・ハッチとそのチームは、太陽の光が当たらない世界でも楽しむことをやめられない深海に生息するPeinaleopolynoe属(「はらぺこのウロコムシ」の意)の調査を実施しました。
ハッチは、以前に発見されたPeinaleopolynoeの2種と、広くウロコムシ科に属している他の種との関係性を調査しました。
査読付きオープンアクセス誌“ZooKeys”の中でハッチと共著者は、4種類の新種を同定している過程であり、これらは2004年から2019年の調査で収集され、モントレー峡谷、カリフォルニア湾、コスタリカなどの東太平洋の水深915メートル(3,000フィート)で発見されたと説明しています。
その光り輝く姿が”ロックンロールの神様”エルヴィス・プレスリーで有名なジャンプスーツのスパンコールのように見えるため、Peinaleopolynoeは長い間「エルビスワーム」と呼ばれてきました。
ハッチと共著者は、今回の調査で資金を提供したロナルド・ミネオ博士、また深海生物学者であるビクトリア・オーファン博士およびシャナ・ゴフレディ博士に敬意を表し、それぞれPeinaleopolynoe elvisi、P. mineoi、 P. orphani 、 P. goffrediという名称を公式に発表しました。
深海で食料を調達するのは難しく、文字通り栄養素とエネルギー源が海底から泡立つ熱水噴出孔とメタン湧出帯で生き延びるために、P. goffrediとP. elvisiは、まさにその名の通り、海底に沈んだクジラの死骸の中で発見されました。クジラの死骸は、空腹の無脊椎動物に膨大な食料を提供します。ただ、一度食べつくしてしまうと新しい死骸を見つけるのはかなり難題ですが。
無脊椎動物の専門家にとって、新種のあらゆる側面を発見することは間違いなく魅力的なことですが、ノースカロライナ大学の海洋生物学者であるレベッカ・ヘルム博士がツイッターで指摘したように、「さらに広い範囲で関心を集める」という課題があります。
この種がもつ光沢は進化によるものではなく何かの副作用による、つまり、全くの偶然であるという見解があります。また、深海は真っ暗闇ではありません。ヘルム博士が指摘したお尻から光を発光する魚など生物発光する生物が、わずかな灯りをともしています。
著者らは、他のウロコムシには存在しないP. orphanaeサンプルの刻み目に気づきましたが、カリフォルニア湾の2.2マイル(約11,600フィート)の自然環境で生息するウロコムシの映像を入手するまで、その刻み目が何であるかは不明でした。ここでは4か所の刻み目が見られます。
上級著者のグレッグ・ラウス博士は声明で「彼らが戦っている映像を見て初めてピンときました。ちょっと待てよ。ウロコにある刻み目は、嚙み痕じゃないか」と述べました。しかし、ラウス博士および他の科学者たちは、彼のチームが「jitterbugging(社交ダンスのジルバ)」と呼んでいるウロコムシの奇妙な動きをまだ解明していません。
reference:iflscience