西オーストラリア大学(UWA)とスウェーデンのルンド大学の科学者たちによる国際研究チームが、雨が降ると植物が「パニック」のような状態に陥っていることが明らかとなった。
日光と二酸化炭素がそそぐ中、雨に濡れるのは植物にとって至福のときのように思えるかもしれません。しかし最近の研究で、植物は雨が降ると実際には驚くほど複雑で苦しむ反応を示すことがわかりました。
西オーストラリア大学(UWA)とスウェーデンのルンド大学の科学者たちによる国際研究チームは、植物が降雨に対し「パニック」に匹敵する複雑な化学信号の連鎖反応を起こすことを発見しました。
学術誌「Proceedings of the National Academy of Sciences」に掲載された研究論文によると、このプロセスには数千個の遺伝子に数百個のタンパク質、さらに成長ホルモンが含まれており、それが葉に雨が当たって10分以内に影響を受けます。この反応は約25分間高まり続けると言います。
研究チームはキャベツやマスタードの仲間の小さな顕花植物「シロイヌナズナ」に水を軽くかけ、MYC2と呼ばれるタンパク質によって引き起こされる植物の連鎖反応を観察しました。
MYC2が活性化すると植物は自身を保護するために防御物を積み上げます。これには開花を遅らせることや成長を阻害することがあります。
パニック状態の防御の一環として植物は他の葉や植物に対し「警告信号」として働く化学物質、すなわちジャスモン酸と呼ばれるホルモンを送り出します。
しかし、水は植物にとって光合成に必要な基本的成分なのに関わらず、なぜ植物は雨でパニックになるのでしょうか?
それは雨は植物に害を及ぼす可能性があるバクテリアやウイルス、真菌類の胞子ももたらすためです。
「奇妙に思えるでしょうが、実際に雨は植物間で広がる病気の主な原因なのです。」と研究著者である西オーストラリア大学(UWA)の植物エネルギー学者ハービー・ミラー教授は言います。
ミラー教授はさらに続けます。「雨粒が葉に跳ね落ちると、小さな水滴が四方八方に跳ね返ります。1つの水滴が最大で10メートルまでの周囲の植物に広がりうるのです。」
「もし周りの植物が防御メカニズムをオンにすれば、病気を広める可能性は低くなります。だから植物とっては周りの植物に警告を広めることが最大の関心事なのです。」
植物のことを自然界の受動的な飾りものと考えがちですが、それは真実とはほど遠いものです。植物学で最も興味深くて物議を醸す科目は「植物神経生物学」で、植物は周囲と知的に相互作用できるという考えに基づく学問。これにはさまざまなレベルのコミットメントがありますが、中には植物が動物のように本当の知性と意識を持っていると示唆する人もいるのです。
reference: IFLscience