8月14日に、LIGO(レーザー干渉計重力波観測所)とVirgo(ヨーロッパ重力観測所)が新たな重力波を観測したことを発表した。さらに、この重力波は今まで観測されたことのなかった「ブラックホールと中性子星の衝突」によって発生したものである可能性が高い。
時空のさざ波である重力波は、「ブラックホール同士の衝突」、「中性子星同士の衝突」そして「ブラックホールと中性子星の衝突」の3パターンによって発生すると考えられている。
重力波が初観測されたのは2015年で、この時の重力波は2つのブラックホールが衝突合体した際に発生したもの。その後、LIGOとVirgoによって2度目となる「ブラックホール同士の衝突」による重力波と、「中性子星同士の衝突」による重力波が観測されていたものの、「ブラックホールと中性子星の衝突」による重力波は観測されていなかった。
ところが、今回観測された重力波「S190814bv」はブラックホールと中性子星の衝突によるものである可能性が高いのだ。
ブラックホールと中性子星の衝突によって重力波が発生するには、中性子星の質量が重要となる。
中性子星の質量が大きい場合、ブラックホールに吸収される時間が長くなる。そのため、中性子星はブラックホールに極めて近い軌道を回ることになり、ブラックホールの重力によって中性子星が粉砕される可能性が高くなる。
バラバラとなった中性子星は、輝く紙吹雪のようにブラックホールに吸い込まれるのだが、ブラックホールは星を飲み込むペースを維持できず、まるでげっぷをするかのように一部を放出するのだ。そのときに重力波が発生する。
反対に、質量が小さい場合、ブラックホールは中性子星を難なく吸い込んでしまうため、重力波が生じることはない。
LIGOとVirgoは、S190814bvの発生源を追跡し、満月の約11倍の幅を持つ楕円形の領域にまで絞りこんだそう。そこで衝突の残光が確認されると、ブラックホールと中性子星の衝突を証明することができるかもしれない。
reference: sciencenews, nationalgeographic