クロアチア東部のヘルマノブ・ビノグラード遺跡で発掘された3体の骸骨、そのうちの2体の頭蓋骨はエイリアンのように先の尖った形状をしていたのが、今回DNA分析によって、その詳細が明らかとなった。
研究論文は、8月21日付けで学術誌「PLOS ONE」に掲載された。
考古学者によるDNA分析によると、骨格はすべて12歳から16歳の間に死亡した男性であることが判明。栄養失調の痕跡が見られるものの、死への直接的な原因ではないとのこと。
研究者らは、少年たちが何らかの儀式によって生贄にされたか、短期間で死に至るペストなどの疫病によって死亡したのではないかとの見解を示している。
また、3人は西暦415年〜560年の間に埋葬されたと推定されている。この時期は、ヨーロッパ史において激動の時代である民族大移動時代に相当する。ローマ帝国の崩壊直後、全く新しい文化と民族がヨーロッパに到達し始め、現代ヨーロッパ諸国の基盤となった。
さらに、DNA分析から祖先の出身地が明らかになる。頭蓋変形を施されていない少年の祖先は、西ユーラシア出身。一方、高く伸ばされているがわりかし丸みのある頭蓋の少年は、近東出身の祖先を持っていた。そして、極端に長く伸ばされた頭蓋をもつ少年の祖先は、主として東アジアの出身であることがわかった。
頭蓋骨を人工的に変形させるという文化は、ユーラシアやアフリカから南アメリカに至るまで、世界のさまざまな場所で確認されていた。
以前から、中部ヨーロッパに頭蓋変形の風習をもたらしたのは、フン族という東アジアからやってきたとも言われる遊牧騎馬民族の連合体なのではないかと考えられてきた。今回の発見はこの説を裏付けるものとなる。
今のところ、フン族であるかは明らかとなっていないが、研究者たちはフン族である可能性が高いとみている。
研究チームは、より詳細を明らかとするために、ヨーロッパからより多くの頭蓋変形のサンプルを発掘したいと考えている。
reference: livescience, nationalgeoglaphic