2019年8月26日、アメリカ空軍が所有する無人宇宙船「X-37B」が、地球軌道上を飛行して718日目に突入。同機が前回のミッションで飛行した717日という数字を更新し、現在進行形で軌道上を飛行している。
アメリカ空軍は、OTV(Orbital Test Vehicle)ミッションを2010年から実行している。一度目のミッションでは225日、二度目は468日、三度目は675日、四度目は717日の期間を飛行していた。そして、最長飛行記録を塗り替えた今回のフライトは、五度目となるわけだ。
「X-37B」は、全長8.8メートル、高さ2.9メートル、翼の幅4.6メートルの実験用無人宇宙船。アメリカ空軍は、「将来のアメリカのための再利用可能な宇宙機向け技術と地上に持ち帰って調べるための操業実験」をその目的としていると発表している。
とはいうものの、この謎の宇宙機について分かっていることはほとんど存在しない。飛行している軌道は分かっているが、その任務や性能、収集したデータについては秘密のヴェールに包まれている。
2017年に宇宙政策を研究する非営利団体「セキュアワールド財団」が、想定されるシナリオを突き止め、X-37Bが意表をついて「姿を消す」ような未来の偵察技術の試験のため、もしくは低軌道上に密かに配備する技術を試すためのプラットフォームである可能性が高いと考えている。
しかし、同財団はX-37Bを兵器プラットフォームにするにはコストがかかりすぎるため、現実的ではないとの見方も示している。