オランダ・マーストリヒト大学などの研究チームが、ヒキガエルの分泌液を乾燥させて作った粉末を吸引するという実験を行った結果、被験者の半数以上がハッピーな気分になったことが明らかとなった。
メキシコ北部やアメリカ南西部に分布するコロラドリバーヒキガエルの分泌液に含まれる「5-メトキシ-N,N-ジメチルトリプタミン(5-MeO-DMT)」という化学物質は、南米地域では伝統的な儀式に欠かせない幻覚剤として用いられている。LSDやアヤワスカよりも強力な幻覚作用を持つと言われている。
過去の研究で「5-MeO-DMT」は、不安障害やうつ病などの症状を軽減するとの報告がされていた。そこで、オランダ・マーストリヒト大学などの研究チームが、「5-MeO-DMT」に着目した興味深い実験を行なった。
チェコ・スペイン・オランダの3カ国から75人の被験者を募集し、コロラドリバーヒキガエルの分泌液を乾燥させて作った粉末を吸引してもらい、実験前と摂取から24時間後、摂取から1カ月後のタイミングで「考え方・認知・気分」に関するアンケートが行われた。
しかし、24時間後のアンケートを受けたのは42人、1ヶ月後の最終テストを受けたのは24人だけという事態となった。そして、最終テストを受けた24人のほぼ全員が、「人生の満足度の向上」「気分の改善」「うつや不安、ストレスの軽減」などを報告した。また、被験者のうち幻覚作用が強くでた人ほど、効果が現れていたようだ。
一方で、実験に途中で参加しなくなった者たちの理由は不明であるものの、服用後に恐慌状態に陥る「バッド・トリップ」を引き起こした可能性も考えられる。吸引量が、目分量であったことも考慮しなくてはならない。
研究チームは今後、「5-MeO-DMT」が持つ精神疾患の治療効果についての研究を行っていくとのこと。
reference: sciencealert, iflscience