ネズミが隠れ場所を探してこっそりと移動している際は、かくれんぼをして遊びたいだけである可能性を示す研究結果が、独フンボルト大学の神経科学者チームによって発表された。
隠れんぼは、厳正なルールのもとで行われる遊び。たとえば、鬼は隠れているものを見つけ出すまで隠れることはできず、隠れる側は鬼に見つかるまで隠れ続ける必要がある。そして今回、独フンボルト大学の神経科学者チームは、ネズミが隠れんぼのルールをすばやく学習できることを発見した。
研究チームは、複数の若いオスのネズミを放した30平方メートルの部屋で、研究者1人が隠れる役で段ボール箱の陰にしゃがんだり、ネズミに先に隠れる場所を見つけさせて鬼役を演じたりした。ネズミたちはケージから出された後、実験に用いられた6匹のオスのネズミが隠れんぼに使用される広々とした部屋に慣れるのに少し時間がかかったものの、彼らはそこを安全と感じた瞬間、隠れんぼをする準備ができていたという。
ネズミたちは1〜2週間のうちに、閉じた箱の中でスタートしてから遠隔操作でふたを開けられる場合が鬼役で、開いた箱の中でスタートするときが隠れる役であることを学習した。
するとすぐに高度な戦略を編み出し、鬼役の時には人間が以前に隠れていた場所に行ったり、隠れる役の時には透明な箱よりも不透明な箱を選んだりするようになった。
ネズミがゲームに勝った時には、手でくすぐるという報酬が与えられた。エサなどの報酬は与えていないものの、ネズミは隠れまわる人間を見つけたり、人間に見つけられたりすることを純粋に楽しんでいる様子だったという。このことは、ネズミがうれしい時に見せる「跳躍」や、過去の研究で喜びを示すものと判明した超音波の笑い声から明らかとなった。
これらは簡単なことのように思われるが、非常に複雑な行動である。また、ネズミは隠れんぼを楽しんでいるのか、研究者からの報酬のために遊んでいるのか、どちらなのだろうか。研究チームは、かくれんぼで遊ぶこと自体を好んでいたのではないかと推測している。
その理由として、喜びの跳躍や笑い声の他にも、見つかってから別の場所に「隠れなおす」ことを時には数回繰り返し、遊ぶ時間を長引かせ褒美の受け取りを遅らせようとする行動がみられたためだ。
reference: science, the guardian