自然の恐怖を紹介する番組を見ているファンなら、魚の血液を吸い、時に舌にくっつき殺し、最終的には舌になり替わってしまう舌食い寄生虫のことはご存知でしょう。
通常私たちは不運な魚の口の中から顔を覗かせる寄生虫の恐ろしい写真を目にすることがよくあります。しかし最新の発見では全く新しい様相を見せたのです。
テキサス州にあるライス大学のコーリー・エヴァンス氏はウオノエと思われる寄生虫に全く予想しない形で偶然出くわし、自身のツイッターでその驚きをシェアしました。
彼はベラという魚の進化について研究するための画像バンクを作るため、頭蓋骨の形状に影響を与える要因に焦点を当てて撮影しスキャンしたデータをデジタル化しました。
エヴァンス氏は最初ヘリングケール(Olisthops cyanomales)の口いっぱいに虫がいると思い、拡大して観察しました。
CNNのスコッティ・アンドリュー氏が報じたようにエヴァンスはふと思い出し、「この魚は海藻を食べるので虫は食べないはずだ、どうしたのだろう?」と考えました。
この画像が海洋寄生虫学にとってどのような科学的価値があるのかは推測することしかできませんでしたが、私たちがこのような水生吸血鬼を知らなかった事を考えると、少なからず研究への興味関心を刺激するものだろうと思います。
あるツイッターユーザーは、エヴァンス氏のデータからこのかわいそうな魚とその恐ろしい連れの3次元ツアー動画を作成しました。
どの種がこのかわいそうな魚を捕まえたのか私たちはわかりませんが、ネット上で最も有名な舌食い寄生虫といえば、ウオノエです。節足動物の一種で北アメリカ西海岸のカリフォルニア湾沖からエクアドル海岸沖にかけて海面によくいます。
若い等脚類は魚のエラ組織に掴まり、エラを通り抜け成長しながらオスの特性を身につけます。ここで成長してメスに性転換すると口の中に向かい爪を使って舌に栄養を送る血管を切り配管工事をすることで組織は黒く変色しやがて魚は息絶えます。
寄生虫は魚にとどまって悪魔のように魚の血をすすり、住処にして栄養供給が尽きるまで安全に繁殖、育児をする準備をします。
その間、魚のニセの舌として不器用ながら機能(と言っていいのか分からないが)します。魚から離れると母寄生虫は食べられるか、単に落っこちていきますが、魚は舌がないため生き延びるのに苦労します。
ほとんどの寄生虫と同様に、舌食い寄生虫は決まった魚に寄生する傾向があります。エヴァンス氏がスキャンしたものについてはまだよくわかっていませんが、新たなサイドプロジェクトとして始動するかもしれません。
私たちは、きっと彼を見下ろす自然の最も怖い悪夢のような生き物と言えるこの色付けされた写真を研究するだろうと望みをかけています。
想像つくどんなホラー映画のポスターにもかなわないはずです。
reference:sciencealert