京都大学が2016年に行なった研究によると、相手の目を見つめながら会話をするという作業は同じ認知資源を利用されており、場合によってはそれが不足してしまうことが明らかとなっている。
話しているときに目を見続けることができない人がいます。気まづい感情や緊張するという理由で片付けられがちですが、科学的な研究に基づかれた理由が存在しているようです。
日本の京都大学が2016年に行った研究によると、脳は正しい言葉を考えながら、相手の目に焦点を合わせるということを処理できない場合があることがわかっています。
京都大学の研究チームは、26人のボランティアにコンピューターで生成された顔を見つめながら、単語連想ゲームをしてもらいました。また、実験参加者は、アニメーションの顔の目を見ている時と見ていない時の2パターンで単語連想ゲームを実行させられます。
実験を行なった結果、連想の難易度が高い単語であった場合には、目を見ている時の方が単語を思いつくまでにかかる時間が長くなりました。
例えば、「ナイフ」に関連する動詞を思いつくことは、”切る”と”刺す”の他に考えられないため、比較的簡単なことです。一方、「フォルダ」に関連する動詞は、”開く”と”閉じる”や”満たす”などがあるが、それを思いつくことは少し難易度が上がるでしょう。
この時間の差は、脳が同時に扱う情報量が大きすぎるためではないかと推測されています。つまり、相手の目を見ながら会話をすることはできるが、それらの作業は共通した認知資源が利用されており、場合によってはそれが不足してしまうことがあるのです。
相手の目を見つめることで、脳が少しおかしくなってしまうことを示唆する研究結果は他にもあります。
2015年にイタリアの心理学者が、10分間目を見つめると意識状態が変わることを実証しています。実験参加者は、怪物や親族、自分の顔といった幻覚を見るようになったのです。
これらの研究からわかることは、話をしている相手があなたから目をそらしたといって、必ずしもネガティブな感情を抱いているとは考えてはいけないということです。ただ、認知システムが限界を迎えているだけかもしれませんからね。
reference: sciencealert