デューク大学の研究チームが人間の軟骨が修復されるメカニズムについての研究を行なった結果、オオサンショウウオやトカゲなどが手足の再生に用いるのと類似したプロセスで軟骨の再生が可能であることを発見した。
研究論文は10月9日付けで「Science Advances」に掲載されている。
一部の生物とは異なり、人間は手足がちょん切れても再生することができません。しかし、最新の研究では人間の関節にある軟骨にトカゲやサンショウウオのような再生能力が秘められていることが発見されました。
まず、デューク大学などからなる研究チームは人間の軟骨の年齢を調査しました。その結果、軟骨の年齢は体のどこに位置しているのかに大きく左右されていることが判明。
軟骨は、足首では若く、膝では足首よりも古く、腰になると足首よりもかなり古いことが明らかとなりました。人間においての軟骨の再生能力が高い部位は、トカゲなどの再生能力が強い部位とも一致しています。
これは、股関節と膝関節が足首よりも関節炎の影響を受けやすく、前者の負傷が一般的に治癒に時間がかかる理由となるかもしれません。
さらに、チームはマイクロRNAについても調査しました。オオサンショウウオやトカゲなどの再生能力を持っている生物は、マイクロRNAと呼ばれる分子が活発。
人間におけるマイクロRNAは関節組織の修復に影響しており、他の動物と同様にマイクロRNAの活発さは部位によって大きく異なっていました。人間では腰よりも膝、膝よりも足首でマイクロRNAが活発であり、軟骨の深い層よりも浅い層でより活発なことがわかりました。
研究チームはこの調節機能をブーストすることで、炎症を起こしている関節において自由自在に軟骨を再生できる可能性を主張しています。
オオサンショウウオが持つ調節遺伝子のうち、人間が持たないものが何であるのかを突き止めることで失われた手足の一部や全体を再生できることが期待されています。
reference: sciencealert, dukehealth