グラナダ大学の研究チームが、スペイン南部のプルピにある「プルピ晶洞」が形成されるまでの地質学的な歴史を調査。晶洞がオスヴァルド熟成という現象で形成されたとされている。
研究論文は10月15日付けで学術雑誌「Geology」に掲載されている。
スペイン南部のプルピにある「プルピ晶洞」は巨大な結晶に覆われた洞窟で、地球に隠された秘境の一つです。
メキシコ北西部のナイカ鉱山の下にある晶洞が世界最大と言われているが、このプルピ晶洞はそれに次ぐ大きさでヨーロッパの中では最大規模。
しかし、その大きさは洞窟としてはかなり小さく、中央に卵型の小部屋があるだけで、人が動ける範囲はほとんどありません。
鉱物好きの方などは、図鑑や博物館などでアメジスト晶洞を見た経験のある人もいるはず。プルピ晶洞は、これらの巨大版のイメージが正しいでしょう。
スペイン・グラナダ大学フアン・マヌエル・ガルシア・ルイス特任教授らの研究チームは鉱物のサンプルを分析したり、地質構造をマッピングするなどして、プルピ晶洞が見つかったミナリカの地質学や地球化学を研究し、プルピ晶洞が形成されるまでの地質学的な歴史を調査しました。
その結果、晶洞内の結晶(亜セレン酸塩)は、硬石膏の溶解によってもたらされる塩の連続した供給によって成長していったことが明らかとなりました。20℃程度で形成されたものとみられています。
また、溶解と再結晶化が促され、微小な結晶が溶解してより大きな結晶に再沈着していく「オストヴァルド熟成」が増幅されたようです。
そして、プルピ晶洞の結晶形成がいつ起こったのかについてはまだ謎となっています。
地中海の水がこの地から干上がった560万年前より後であると見られており、おそらく6万年前〜200万年前の間に結晶形成が起こったのではないかと考えられています。
reference: sciencealert, livescience