パリのバードウォッチャーらはここ数年街にいる鳩の異変を感じていました。指が1本以上かけてしまっている鳥類が街にたくさん見られると言います。
科学者たちは原因と思われるものを発見しており、それに対して頭を抱えています。最新の研究によると、鳩のつま先を切断する犯人は人間の髪の毛である可能性が浮上しているのです。
以前の研究では鳩が自分自身の糞の上に立つことで感染症にかかって起こっていると考えられていました。しかし、後の詳しい研究によると、糸の残骸や人間の髪の毛が鳩の指に絡まっていることが明らかになったと2018年発行の自然科学誌Nature Sciences Sociétésに掲載されたのです。
パリを46区画に区切り1,250羽の鳩を観察することで、パリの生態学保全センターの研究者らは20%の鳩が1本またはそれ以上のつま先を失っていることを発見しました。これを区画ごとの人間活動と汚染の数値と照らし合わせると、美容院が密集している地域と空気汚染や騒音の数値が高い地域ではつま先を失った鳩がより多く観測されました。
これらの区画では交通の動きによって髪の毛やゴミをまとめるためのプラスチックの紐などがより大きな地域に運び込まれ、鳩がその髪の毛などに出くわしてしまうと生態学保全科学センターの生態学者であり、この研究の筆頭著者でもあるフレデリック・ジゲ氏は生物保護ジャーナル12月号で述べています。
鳩が舗装道路や石畳を歩くと人間の髪の毛などに絡まることがあります。鳩が絡まった髪の毛をくちばしで解くのは簡単ではないようで、くちばしで髪の毛を取り除こうとすればするほど絡まってしまうと言います。
髪の毛で締め付けられることで血流が滞り、つま先を失う可能性があるのです。
そのような足は鳩の動きや都市部でエサの確保に影響を与える可能性があります。また、怪我のため交尾中にオスはメスの上でバランスが取れずに生殖にも影響を与えかねない、と研究者らは言います。
今後の研究では、街中に粘着マットを設置し実際鳩はどれだけの本数の髪の毛に遭遇しているのかを測定することを望んでいるそうです。また、他の大都市の鳩の足の損傷も同様に人間に起因するのか調べたいとのことです。
reference: livescience