古代都市ポンペイの広大な下水道は溶岩の石板で舗装された広い道路のはるか下方にあり、かつては暴風の雨水を集めて海へ流す防災手段となっていました。 現在この街の下腹部ともいうべき区域で、建設から数千年を経た下水道を系統的に分類、復元する調査が進んでいます。
過剰とも言えるほど栄えたローマ都市・ポンペイは紀元1世紀、ベスビオス山の大噴火に見舞われ、住民が火山灰と致死性有毒ガスに襲われて街は壊滅しました。1万6千人を越える人々の多くは災害時の姿のまま命を落とし、街はその後2千年もの間放棄されたのです。
2018年以降、都市の降雨排水設備を調べる過程で、ポンペイ考古学公園は共同調査中の洞窟学専門家がのべ457mにわたる地下道を発見したことを公表しました。現在、街中心部の地下にある2つの貯水池から枝分かれしたトンネルと地下水路のネットワークは、3つの段階を経て建造されたものと考えられています。まず紀元前3世紀・ギリシャ時代の第一段階、次に紀元前1世紀・共和制ローマ後期の第二段階、そして西暦79年の災害前に相当するアウグストゥス帝時代の第三段階です。
専門家は下水設備の機能を復活させるため、千年以上にわたってトンネル内に溜まった堆積物を除去しました。彼らは遺跡を保護しながら、排水管の機能維持にとって潜在的に課題となる事柄とその解決法を特定。
歴史上の価値を監視・保護するために欠かせない、遺跡に関する広範な理解の促進をめざしています。トンネルの発見により、古代都市にはまだ見つかっていない事実が多々存在することが明らかになりました。
考古学公園のマッシモ・オザンナ所長は次のように述べています。「さまざまな分野の専門家の協力により、古代都市の特定面・特定個所に関する情報の欠落が埋められつつあります。以前の発掘調査では得られなかった専門スキルのおかげで、正確なデータの蓄積がより多くできるようになりました。」
調査の第一フェーズは1月末で完了し、専門家チームは本体あった排水機能を確保するため、今後地下水路と貯水池の再利用に向けた作業を行なうこととしています。
reference:iflscience