信じられない位かわいい赤ちゃんの姿にこれほど多くの人が心を奪われたのはベビーヨーダ以来です。
何の話か知りたい方は、赤ちゃんカモノハシの姿をごらんください。このありえないほどかわいい姿が今週SNSをかけ巡り、小さくてかよわいベビーを目にした人たちをなごませてきました。
ただ1つ、小さな体の割には大きな問題がありました。この赤ちゃんカモノハシは生き物ではなかったのです。親から生まれて来たわけでもなく、かわいい寄り目で何かを見ることもありません。
この赤ちゃんカモノハシは両親ではなく、人の手によって作られた製造物なのです。
画像がネットに拡散してからいくつものコメントで指摘された通り、赤ちゃんカモノハシは実はセルビアのファンタジー・アーティストであるウラジミール・マティク・クリリョフ氏が作製した小型の彫刻品でした。
ウェブサイト「アートステーション」では赤ちゃんカモノハシの他の写真も見ることができますが、最初に拡散されたものが一番良い角度で撮れているようです。
マティク・クリリョフ氏はその非凡な絵画以外にも、プラスチックに似た素材を使ったポリマー粘土「超彫刻」を作製しています。ちょっと愛らしい赤ちゃんセイウチも気になるところですが、本人によれば赤ちゃんカモノハシが「今まで作った中でおそらく一番かわいい」とのことです。
「アートステーションの掲示にはっきり(彫刻だと)書いてあったのに、『鉄壁カモノハシの赤ちゃん』というタイトルが誤解を招いてしまった。」とマティク・クリリョフ氏は語っています。
「私が考えていたのは『鉄壁カモノハシ』という想像上の動物だったのですが、まさかそれが誤解を呼ぶとは思いもしませんでした。」
それでもなお誤解は続き、小さなアイドルはインターネットの世界でうねりを広げて行きました。この拡散が起こった事実は、虚偽、デマ、歪曲といった類がソーシャルメディアでいかに容易に広がるかを認識させてくれる好例と言えます。
あろうことか、世間はつい最近にも作り物の赤ちゃんカモノハシでだまされているのです。参考までに、本物の赤ちゃんカモノハシはこんな姿をしています。
さて真の情報で知識をアップデートするついでに、カモノハシがいかに奇妙な動物なのか見てみるのも良いでしょう。その不思議な性質は人間の健康に重要な役割を果たすかもしれません。
俗に「パグル(犬)」とも呼ばれるカモノハシの赤ん坊は卵生ですが、孵化すると母親の乳を飲んで育つ希少な動物種です。
大きくなったカモノハシは後ろ足に有毒のけづめを持ちますが、毒のある哺乳類という点においても地球上ほぼ例を見ません。
これらの話はすべて真実です。でも残念なことに、初めに掲載している赤ちゃんカモノハシは本物ではありません。真実を知ったひとりのツイーターユーザーは「何もかも台無しだ」と嘆きましたが、それでも本物のカモノハシは素晴らしい生き物だと思えるのです。
reference:iflscience