宇宙飛行士を夢見たのに自分は怠惰すぎると思ったことはありませんか?なら、あなたにぴったりの仕事があるかもしれません。
長期にわたる無重量状態が女性飛行士の健康にどう影響するかを調べるため、欧州宇宙機関(ESA)が長時間ベッドに横たわる研究へのボランティアを探しているのです。
ESAの研究では、20名の女性がフランス・トゥールーズにある宇宙医学生理学研究所(MEDES)で半分ベッド、半分プールのような乾式没入バスに5日間入るよう求められる予定です。基本的にはハイテクのウォーターベッドのようなもので、微小重力下で漂う宇宙飛行士に似せて体を均一に支え、かかる圧力を最小化するのです。
ESAの有人宇宙飛行チームリーダーを務めるジェニファー・ゴアン氏は「女性に関するデータがほとんどないため、最初の乾式没入実施手順では女性のボランティアだけを使うことにした」と述べています。「今回は特別な実験をせず、乾式没入モデルの知見を深めて女性がどう反応するか見るためにデータを採取します。この結果は将来さらに高度な調査研究につながります。」
すいぶんリラックスした夢の仕事のように聞こえますが、この研究は気の弱い人には向きません。骨格筋、骨重量が減って健康状態が悪化する上、眼に気をそぐような変化を生じたり、体液の脳への流入を覚悟する必要があるのです。さらに加えて健康状態記録のための採血と生体検査も定期的に行なわれます。
ゴアン氏は続けます。「こうした研究ボランティアには数々の要求事項があるのですが、それは簡単なことではなく、ベッドで横になっているのが楽しいと思えるのは最初のうちだけです。ボランティアの皆さんが人間探究への貢献で日常生活を犠牲にすることに対してはいつも敬意を表しています!」
また別の研究プロジェクトでは、頭が水平からマイナス6度傾いたベッドでの実験も行なわれます。参加者は60日の間ベッドから離れることを許されません。この人間モルモットは体を洗ったり物を食べたり用を足す時でも、少なくとも一方の肩が常にベッドに接していなければならないのです。
この研究には低重力が人体に及ぼす効果をより深く調べるため、足を水平より高く上げた状態のままで巨大な遠心分離機の中に横たわって回転する実験も含まれています。
宇宙飛行が人体に及ぼす影響に関してはこれまでの研究で既に多くの知識が得られていますが、まだまだ学ぶべきことは多いのです。この分野における重要課題の1つに「双子調査」があります。NASAが実施したこの画期的な調査では、国際宇宙ステーションで11か月を過ごした宇宙飛行士スコット・ケリーと、地上で暮らした双子のマーク・ケリーとの比較が行なわれました。
reference:iflscience