アメリカ公衆衛生局長官が現在進行中のコロナウイルス感染について、予防のためマスクを買うことを控えるよう促しています。マスクには人混みでウイルス感染を防ぐ効力がほとんどないとのことです。
ただ医師や看護師、ヘルスケア関係者など感染者と常に隣り合わせの人たちにとってマスクは有益な道具となります。このため重要な医用リソースが枯渇しないよう、公衆衛生局長官ジェローム・アダムス博士がマスクを買いに走る行為に対して警告を与えているのです。
アダムス博士は週末のツイッターでこうつぶやいています。「まじめな話、マスクを買うのはやめませんか!」
「一般の人々をコロナウイルスから守る効果など全くありません。一方患者を扱う保健関係者にマスクが渡らないと、彼らも社会も危険に陥るのです!」
カリフォルニア・パシフィック・メディカルセンターの麻酔学局長であるジェフリー・スイッシャー氏もツイッターで述べています。新型コロナウイルスの流行を防ごうとしても「ウイルスの分子が小さすぎてマスクの濾過能力では不十分です。」「外科用マスクは手術室で細菌感染を防ぐために使うものです。買いだめはやめましょう!」
実際、既に世界のある地域ではコロナウイルスの流行に伴ってマスクなどの医用品が不足しています。マスク需要の高まりで価格が上昇し、模造品の横行も見られます。
「医用防護品に対しては世界中で負荷が高まっています。一番重要なのは第一線に立つ保健関係者を守り、彼らの仕事に必要な道具を確保することです。」WHOで緊急保健対策を担当するマイケル・ライアン理事は金曜日の記者会見でこう述べています。
アメリカ疾病管理予防センター(CDC)によれば一般の人々が毎日外でマスクを着用する必要はないそうですが、一方では感染者がマスクをすることで他への伝染を防げるとのデータもあります。
「こうしたマスクの着用で感染を防げるとする根拠はほとんどありません。」ユニバーシティカレッジ・ロンドン病院で急性内科伝染病科の顧問を務めるベン・キリングリー博士は言います。「例えばインフルエンザ患者のいる家でマスクをしていても感染を防げないことが分かっています。」
「保健関係者が患者と接する時には特殊なマスクを着用しますが、症状のある患者と接触しない一般の人々が屋外で外科用マスクをするのとは状況が全く異なります。」
新型コロナウイルスでも他のウイルスでも、感染リスクを減らすためにできる簡単なことはいくつかあります。まず最初に一番重要なのは、石鹸とお湯を使って頻繁かつ丁寧に手を洗うこと。手すりやドアノブなど不特定多数の人間がさわる場所に触れることはウイルス拡散にとって特に好都合ですから、外出したら手の衛生には格段の注意を払う必要があります。顔、特に口、鼻や目を触らないことも同じく大切です。
reference:iflscience