今のところCovid-19のパンデミックによる感染者は全世界で480万人、死者は31万9,000人となっています。このウイルス感染を減少させるために多くに国でロックダウンやソーシャルディスタンスをとるという対策をし、何十億もの人々の生活を劇的に変えることとなりました。アメリカやヨーロッパ、中国、ロシアなどにパンデミックの影響を与えたことで、温室効果ガス排出国のCO2レベルはここ数ヶ月間で劇的に下がったのです。
Nature Climate Change,に掲載された研究論文によると、研究者たちからなる国際チームはCovid-19のパンデミック中の政府政策によって世界中のエネルギー需要や使用量がどのように変化したかを観察し、経済セクターやエネルギーの組み合わせ、そして4月まで適用のポリシーデータを使って過去4ヶ月間の排出の変化を算出しました。
「排出量は4月7日に減少のピークを迎え、昨年の同時期と比較して17%減少しました。」とオーストラリア連邦科学産業研究機構の研究者でグローバルカーボンプロジェクトのディレクターを務めるペップ・キャナデル博士は声明で述べています。「この数値を参考にすると、1月から4月までの1日の平均排出量は昨年の同期間と比較して8.6%減少しました。」
総排出量の変化に最も大きく貢献したのは陸上輸送の減少で43%でした。各国では電力をそれほど必要としていなかったため、この分野は世界の排出量の変化のうち19%を占めています。製造業は4分の1を占め、大きな打撃を受けた航空産業は残りの10%を占めています。人々が自宅に閉じ込められていたにもかかわらず自宅でのエネルギー消費の増加はわずかで、他の分野が減少したことで簡単に相殺されます。
このデータは69ヶ国とアメリカの50の州、中国の30の省で取られたもので、世界の人口の85%、世界のCO2排出量の97%をカバーしています。4月の排出量が昨年と比較して17%減少したのは、主にアメリカ、インド、中国がすべて同時期にロックダウン下にあったからだろうとみています。平均して1日の排出量が1国あたり26%減少しました。
この結果は気候変動への取り組みは個人の責任だけでは達成できないこと、また既に示したように、結果を出すためには政府が情報システム基盤に意味のある変化をもたらすことに焦点を当てる必要があることを強調しています。
「アフターコロナの経済政策計画時に世界のリーダーたちが気候変動を考慮に入れるか否かで、今後数十年後の世界のCO2排出に影響を与えるでしょう。」と第一著者でイーストアングリア大学のコリーヌ・ル・ケレ教授は声明で述べています。「気候変動目標の達成、特に外出制限期間中減少した排出量の半分を占めるモビリティーにも耐えうる総合経済政策を実行することで、現実的で耐久性のある変化をもたらし、将来への危機を跳ね返す契機はあります。」
地球規模の排出量削減のためには環境にやさしい交通手段やエネルギー生産への投資が必要です。今年の予期せぬ危機の中でさえ地球の気温上昇を1.5℃未満にするというパリ協定の目標は達成できないだろうと研究者たちは考えています。
この目標を達成するためには、今後10年間排出量を毎年7.6%現象させる必要があると国連は言っています。研究チームはロックダウンが6月中旬まで延長されればおよそ4%の減少、年末まで制限が続けばやっと7%の減少が見込めると考えています。
reference:iflscience