水族館からグレートバリアリーフに至るまで、コロナウイルスの外出制限のため人との交流が途絶えたことで『寂しさ』を感じている魚もいると海洋生物学者は話しています。
大きな種、特にメガネモチノウオやタマカイはロックダウンが始まってから最初の数週間は食事を拒否するなど落ち込んだ様子を見せていました。
2年前にオープンしたばかりのケアンズ水族館は3月に閉鎖に追い込まれました。
学芸員であり海洋生物学者でもあるポール・バーンズ氏はCOVID-19の影響を受けたのは水族館スタッフだけではなかった、と話しています。
「かなりの魚たちがおかしな行動を見せ始め、すねているようにさえ見えます。」とバーン氏は話しています。
彼は人混みが好きな巨大なタマカイの『チャン』は特に影響が大きかったそうです。
「数週間は何も食べず、今でもおとなしいのです。」
「多くの人は動物たちがタンクの中から外が見え、人を見ていることに気づいていません。実は人間との交流を楽しんでいるのです。」
ウォーリーはどこ?
一方ケアンズ沖のグレートバリアリーフでは、メガネモチノウオのウォーリーは毎年ムーアリーフに見に来る多くの観光客に会えず寂しがっているそうです。
ソーシャルメディア界のスターであるウォーリーは人間に飼われてはいませんが何百人という観光客の動画や自撮り写真にフィーチャーされてきました。
リーフマジックツアーズ社のダン・ガブット氏は旅行が制限されているため全てのツアーが停止していると話しており、最低限の人数のスタッフでメンテナンスのために船を運転しサンゴやウォーリーの様子を観察しています。
「間違いなくウォーリーは人恋しがっています。」とガブット氏は話しています。
この旅行会社にはFacebookを通じて、人間のお友達がまた来るまで「元気でいてね」とウォーリーを励ます応援メッセージがたくさん寄せられています。
ジェームズクック大学の海洋生物学者で海底カメラマンとしても有名なリチャード・フィッツパトリック氏は、魚たちは『心がない』生き物ではないと言います。感情を持ち、ガラス越しからでも人間に懐きます。
「知性の高いメガネモチノウオのような大きな魚の中には、野生でも飼われていても接する人間と社会的繋がりを形成できるものもいます。」とフィッツパトリック氏は話しています。
「エサをくれる人を理解し、その人には違った反応を示します。ですから人が訪れないのはどうしてだろうと考えている魚も少なくないはずです。」
「多くの人が考えているよりも多くのことが魚の脳内では起きています」
フィッツパトリック氏は『食べることばかり考えているわけではない』と話します。
「メガネモチノウオは社交性のある生きもので、人との交流を好みます。」
「岩礁、特に観光地として人気のある所ではメガネモチノウオがどのように人と関わるのかを見ることができます。」
水族館にいる大きな魚たちも人間との交流を盛んにしているそうです。
「見に来るお客さんが通るだけで魚たちには刺激となります。」と彼は話しています。
「人の顔や来ている洋服の色を見るのが好きなのです。」
学芸員のポール・バーンズ氏は、水族館を閉鎖していても魚たちへのえさやりや、水槽の清掃、ろ過システムは24時間続くと話しています。
一部のスタッフは間連邦政府の雇用手当を受けて休職していた間、最低限の人数だけが残っていました。
「私たちの多くがこの仕事をしているのは動物に情熱を持っているからだけではありません、この生き物たちについて一般の方に教育をし、メッセージを伝えることに情熱を燃やしているからです。」とバーンズ氏は話しています。
「時々とても落ち込んでいることがあります」
彼は、スタッフと魚たちはオープンする日、できればノース・クイーンズランドの観光シーズンのピークである7月から9月には再開したいと待ち望んでいると話しています。
「その時までに再び魚たちに人混みに慣れさせるため、スタッフを増員しはじめていきます。」と話しています。
「スタッフには水槽の外で座ってランチを食べてもらいます。今度は人混みに驚いて食事を拒否されないようにするためです。」
reference:abc